EST. 2026 — Editorial Archive of Notable Architecture

ムーリッシュ・リヴァイヴァル様式

Moorish Revival architecture
年代
1830 — 1920
地域
ヨーロッパ・北米
時代
新古典・歴史主義

ムーリッシュ・リヴァイヴァル様式(新ムーア様式、ネオ・ムーア様式)は、19世紀から20世紀初頭にかけて欧米で流行した歴史主義的なリヴァイヴァル様式の一つである。中世イベリア半島や北アフリカに花開いたイスラーム建築——とりわけグラナダのアルハンブラ宮殿やコルドバのメスキータ——を範とし、その造形語彙を近代の建物へ転用した点に本質がある。19世紀ヨーロッパの折衷主義とオリエンタリズムの潮流のなかで、エキゾティックで装飾豊かな表現を求める嗜好と結びついて広まった。

形態上の特徴としては、馬蹄形アーチや多弁アーチ、細い列柱、鍾乳石状のムカルナス、幾何学文様とアラベスクによる稠密な装飾、彩色タイル、球根状のドームや小尖塔などが挙げられる。これらは構造というより表層を覆う装飾として用いられることが多く、内部の空間構成はしばしば西欧の教会建築や公共建築の枠組みを踏襲した。

この様式は別荘や保養地のパヴィリオン、劇場、浴場など多様な用途に用いられたが、なかでもシナゴーグ(ユダヤ教会堂)の建築に好んで採用されたことで知られる。19世紀の中欧・東欧では、キリスト教のゴシックやロマネスクと一線を画し、ユダヤ人の文化的出自を象徴する表現として、ブダペストやベルリン、サラエヴォなどに壮麗なムーア様式のシナゴーグが建てられた。20世紀に入ると流行は次第に退いたが、それらの建物は今日では各地の都市景観を彩る歴史的建造物として保存・評価されている。歴史主義の一翼として、近代の都市に多文化的な記憶を刻んだ様式といえる。

ムーリッシュ・リヴァイヴァル様式
§1

代表建築

Buildings
§2

様式の系譜

Lineage
親様式
ムーア建築
本様式
ムーリッシュ・リヴァイヴァル様式