パリアシヴィリ記念トビリシ国立歌劇場 Tbilisi Opera and Ballet Theatre
トビリシ・オペラ・バレエ劇場(თბილისის ოპერისა და ბალეტის თეატრი)は、ジョージアの首都トビリシのルスタヴェリ大通りに立つ歌劇場である。建築家ヴィクトル・シュレーターの設計により1896年に開場した、ムーア復興様式を代表する劇場建築である。
§1 — 概要概要
トビリシ・オペラ・バレエ劇場(თბილისის ოპერისა და ბალეტის თეატრი)は、ジョージアの首都トビリシの目抜き通り、ルスタヴェリ大通りに立つ歌劇場である。バルト・ドイツ系の建築家ヴィクトル・シュレーター(Victor Schröter)の設計により1896年に開場した。黄と赤の縞模様の外壁や馬蹄アーチを特徴とするムーア復興様式の劇場で、コーカサスを代表する文化施設のひとつとして知られる。1937年以降は、ジョージアの作曲家ザカリア・パリアシヴィリ(Zacharia Paliashvili)の名を冠している。
歴史
トビリシの歌劇場の歴史は、1851年に開場した最初の劇場にさかのぼる。イタリア人建築家ジョヴァンニ・スクーディエリ(Giovanni Scudieri)の設計によるこの劇場は、帝政ロシア時代のティフリス(トビリシの旧称)に建てられ、コーカサスにおける西欧音楽の拠点となった。しかし1874年10月、火災によって焼失する。再建にあたっては設計競技が催され、サンクトペテルブルクの劇場建築家ヴィクトル・シュレーターの案が選ばれた。設計は1880年に承認されたが、工事は資金や調整の遅延を重ね、現在の建物が開場したのは1896年であった。20世紀に入っても劇場は数奇をたどり、1973年に再び火災に見舞われたが、ムーア様式の内装が忠実に復元され、1978年に再開した。さらに2016年には大規模な修復が完了している。
建築的特徴
建物は、19世紀後半に流行した折衷主義のもとで、イスラーム建築の意匠を引用したムーア復興様式によっている。外壁は黄色と赤褐色の煉瓦を交互に積んだような縞模様で覆われ、窓やアーケードには馬蹄形にくぼむ馬蹄アーチが連なる。表面にはアラベスクの繊細な幾何学文様や、ムカルナスを思わせる装飾がほどこされ、東方的な華やぎをたたえる。内部の観客席は扇形に広がり、約千席を収容する。きらびやかな装飾を凝らした堂内は、外観のエキゾティックな表情と呼応している。
意義・現在
トビリシ・オペラ・バレエ劇場は、ジョージアにおけるオペラとバレエの中心であり続けてきた歴史ある舞台である。19世紀ヨーロッパで流行したムーア復興様式が、コーカサスの地で本格的な劇場建築として結実した稀有な例であり、その建築的価値は高く、国の重要文化財として保護されている。火災と復元、そして近年の修復を経てなお、創建時の華麗な姿を保っている。今日もパリアシヴィリ記念の国立歌劇場として上演を続け、トビリシの文化生活と、その独特の都市景観を象徴する建築となっている。