聖ミクラーシュ教会(マラー・ストラナ) St. Nicholas Church (Malá Strana)
プラハの小地区(マラー・ストラナ)に建つバロック教会。ディーンツェンホーファー父子が設計し、ボヘミア・バロックを代表する。緑青色のドームと鐘楼が街のスカイラインを彩る。
§1 — 概要概要
聖ミクラーシュ教会(マラー・ストラナ)は、チェコの首都プラハの小地区(マラー・ストラナ)に建つバロック様式の教会である。18世紀前半にイエズス会の教会として築かれ、プラハ・バロックを代表する建築として知られる。緑青を帯びた円蓋(ドーム)と鐘楼が小地区の街並みの上にそびえ、街のスカイラインを特徴づけている。
歴史
この場所には中世以来、聖ニコラウス(ミクラーシュ)に捧げられた教会があったが、17世紀にイエズス会がこの地に拠点を構えた。現在の教会堂は1703年に着工され、まず身廊とファサードがクリストフ・ディーツェンホーファーの設計で進められた。その子キリアーン・イグナーツ・ディーンツェンホーファーが内陣とドームを引き継ぎ、1755年頃までに主要部が完成した。最後に鐘楼がアンセルモ・ルラーゴの手で仕上げられ、教会群は現在の姿に整えられた。1773年のイエズス会解散後は教区教会となり、今日に至っている。
建築的特徴
身廊は楕円を連ねた波打つような平面と、相互に貫入する曲面によって構成され、ボヘミア・バロックの動的な空間が展開する。天井には大規模なフレスコが描かれ、聖ニコラウスの生涯を主題とする画面が実際の建築と一体となって壮大な幻影をつくり出す。内部の柱や祭壇には人造大理石(スタッコ)がふんだんに用いられ、彫像や金箔とあいまって豪奢な空間を生み出している。高さ約49メートルのドームと、それに寄り添う鐘楼が外観の要となっている。
意義・現在
聖ミクラーシュ教会は、ディーンツェンホーファー父子による設計の到達点として、中央ヨーロッパのバロック建築史に重要な位置を占める。音響にも優れ、モーツァルトもこの教会のオルガンを弾いたと伝えられる。現在もコンサートが催されるとともに、プラハ歴史地区(ユネスコ世界遺産)の一部として多くの来訪者を迎えている。