聖ミクラーシュ教会(旧市街) St. Nicholas Church (Old Town)
プラハ旧市街広場の一角に建つバロックの教会。13世紀のゴシック聖堂の跡地に、キリアーン・イグナーツ・ディーンツェンホーファーが1732年から1737年にかけて建てた。白い双塔とドームが旧市街の空を画する。
§1 — 概要概要
聖ミクラーシュ教会(Kostel sv. Mikuláše)は、プラハ旧市街広場の北西の一角に建つバロック様式の教会である。同名で知られるマラー・ストラナ(小地区)の聖ミクラーシュ教会とは別の建物で、こちらは旧市街側に位置する。設計はプラハ・バロックを代表する建築家キリアーン・イグナーツ・ディーンツェンホーファーが手がけ、ベネディクト会の発注により建てられた。
歴史
現在地には13世紀以来、聖ニコラウスに捧げられた教会が建っていた。これを建て替える形で、1732年から1737年にかけてベネディクト会のために現在の聖堂が築かれた。しかし1780年代、ヨーゼフ2世による修道院解散政策のもとでベネディクト会は退去させられ、聖堂は一時倉庫として用いられて荒廃した。19世紀後半にはロシア正教会が使用し、その後1920年にチェコスロバキア・フス派教会の主聖堂となって今日に至る。1945年のプラハ蜂起の際には、抵抗組織がこの聖堂を秘密の放送拠点として用いた逸話も残る。
建築的特徴
広場に向けて曲面を生かしたファサードを見せ、中央にドーム、両脇に対をなす二本の塔を立てる。内部はバイエルンの画家コスマス・ダミアン・アザムによる天井フレスコが覆い、聖ニコラウスと聖ベネディクトゥスの生涯を主題とする。ベルナルド・スピネッティの漆喰装飾、アントニーン・ブラウンの彫刻がこれに重なり、光と動きを重んじるバロックの空間感覚をよく示している。身廊に下がる王冠形のクリスタル製シャンデリアは、正教会時代にロシア皇帝から寄贈されたものである。
意義・現在
ディーンツェンホーファーがプラハに遺した数多いバロック建築のひとつであり、旧市街広場の景観を構成する重要な建物である。現在はフス派教会の礼拝に用いられるとともに、その豊かな音響を生かしてコンサート会場としても広く親しまれている。