聖ニコライ教会(ライプツィヒ) St. Nicholas Church
ドイツ・ライプツィヒ最古かつ最大の教会。1165年頃にロマネスク様式で起工し、16世紀にゴシックのホール教会へ拡張、18世紀末にダウテが内部を新古典主義へ一新した。1989年の月曜デモで平和革命の発火点となったことで名高い。
§1 — 概要概要
聖ニコライ教会(ドイツ語: Nikolaikirche)は、ドイツ・ザクセン州ライプツィヒの中心市街に建つ福音主義(ルター派)の教会である。市内で最も古く、また最大級の教会で、商人と旅人の守護聖人である聖ニコラウスに捧げられている。ロマネスクに始まりゴシック、バロック、新古典主義と数世紀にわたる増改築が積層した建築であり、加えて1989年の平和革命において決定的な役割を果たしたことで国際的に知られる。
歴史
建設は1165年頃、双塔をもつロマネスク様式の聖堂として始まった。16世紀初頭(1513年以降)には大規模な改築が行われ、三廊の高さをそろえたホール教会としてゴシック様式に造り替えられた。1539年の宗教改革を経てプロテスタントの教会となり、18世紀にはトーマスカントルを務めたヨハン・ゼバスティアン・バッハの作品がここで初演された(『ヨハネ受難曲』など)。1730年にはバロック様式の主塔が加えられ、1784年から1797年にかけては建築家ヨハン・カール・フリードリヒ・ダウテが内部を新古典主義様式へ全面的に改装した。
建築的特徴
外観はゴシックのホール教会の姿をとどめ、ロマネスク期の名残も残すが、内部はダウテの改装によって一変している。淡い色彩でまとめられた身廊では、円柱の柱頭が椰子の葉を思わせる装飾へと開き、天井のリブ・ヴォールトを覆い隠す。ダウテは中世ゴシックの痕跡を意図的に隠し、明るく軽やかな新古典主義の空間をつくり出した。淡桃色と緑を基調とするこの内部意匠は、ドイツの教会建築のなかでも特異な存在として評価される。バロックの主塔は高さ約75メートルに達する。
意義・現在
1980年代から続いた月曜の平和の祈りは、1989年に体制への抗議運動へと発展した。同年10月9日には7万人を超える人々が教会から市内へと行進し、暴力をともなわないこの行動は、東ドイツ体制の崩壊とベルリンの壁の崩壊を導く転換点となった。聖ニコライ教会は「非暴力による変革」の象徴として国際的に記憶されている。現在も礼拝と音楽の場であり続けるとともに、平和革命の記念地として多くの来訪者を迎えている。