聖パウロ大聖堂(イムディーナ) St. Paul's Cathedral, Mdina
マルタの旧都イムディーナに建つカトリックの大聖堂。1693年の地震で倒壊した中世聖堂に代わり、マルタの建築家ロレンツォ・ガファの設計で1696〜1705年に再建されたバロック建築の傑作である。
§1 — 概要概要
聖パウロ大聖堂は、マルタ島の城郭都市イムディーナに建つカトリックの大聖堂である。正式には聖パウロ首都大聖堂といい、使徒パウロに捧げられている。マルタ大司教区の司教座聖堂であり、19世紀以降はヴァレッタの聖ヨハネ准司教座聖堂とその機能を分かち合う。マルタの建築家ロレンツォ・ガファの最高傑作とされる。
歴史
伝承によれば、この地にはかつてローマ総督プブリウスの邸宅があり、難破して上陸した使徒パウロを迎えたとされる。地下聖堂にはローマ期の住居の遺構が残るが、この伝承は史実とは確認されていない。最初の聖堂は聖母に捧げられたが、アラブ期に荒廃し、跡地はモスクとして用いられた時期もあった。1091年のノルマン征服後にキリスト教が再興され、12〜13世紀に聖パウロに捧げる聖堂がゴシックとロマネスクの様式で建てられた。1679年、モリーナ司教は中世の内陣をバロック様式で建て替えることを決め、ガファが設計・監督に任じられた。しかし1693年のシチリア地震で聖堂は大きく損なわれ、同年4月、旧聖堂を解体しガファの設計で全面的にバロック様式で建て直すことが決定された。地震を免れた内陣と聖具室は新聖堂に取り込まれ、再建は1696年から1705年にかけて行われた。
建築的特徴
ファサードは二基の鐘塔を左右に配し、交差部にドームを戴く、均整のとれたマルタ・バロックの構成をとる。地元産のグロビゲリナ石灰岩を用い、温かみのある色調をもつ。ラテン十字形の平面に、彫刻・絵画・大理石装飾を備えた荘重な内部空間が広がる。円熟期のガファによる、明快で堂々たるバロック建築である。
意義・現在
聖パウロ大聖堂はガファの代表作であり、マルタを代表するバロック聖堂の一つに数えられる。マルタの国定記念物(第一級)に指定され、城壁に囲まれたイムディーナの歴史的市街の中核をなす。現役の大聖堂として今日も用いられている。