EST. 2026 — Editorial Archive of Notable Architecture
頤和園
© xiquinhosilva / CC BY 2.0
FIG. 01 — Q4132
様式 · 中国建築 時代 · 中世 類型 · 宮殿・邸宅 ★ 世界遺産「頤和園、北京の皇帝の庭園」(1998年登録)

頤和園 Summer Palace

北京西北郊に広がる清朝の離宮庭園。乾隆帝が1750年に清漪園として造営し、英仏軍の焼き討ちののち西太后が再建した。昆明湖と万寿山を軸に、中国造園の到達点を最大の規模で示す。

FIG. 02 — Location39.9975° N 116.2689° E
中国 北京市 北京
§1 — 概要

概要

頤和園(いわえん)は、北京市北西郊の海淀区に位置する清朝の離宮庭園である。総面積約297ヘクタールのうち四分の三を人工湖の昆明湖が占め、その北岸には掘削土を積み上げて築いた高さ約60メートルの万寿山がそびえる。山上から湖面へ向けて堂・閣・廊・橋を配し、江南の名園と自然の山水を一箇所に集約する。1998年、ユネスコの世界遺産に登録された。

歴史

この一帯には金代から離宮が置かれ、元代には郭守敬による水利事業で西湖(のちの昆明湖)が都の貯水池として整えられた。明代には甕山の前に円静寺が建ち、正徳帝が湖畔に行宮を設けている。現在の骨格が成立したのは清の乾隆帝の時代である。1750年、帝は母である崇慶皇太后の還暦を機に西湖を西へ拡張して三つの湖を掘り、漢の武帝が水軍を訓練した故事にちなみこれを昆明湖と総称した。掘削土で甕山を拡大して万寿山と改め、1764年に清漪園として一応の完成をみる。しかし1860年、アロー戦争で英仏軍が隣接する円明園とともに焼き払い、園は廃墟となった。1884年から1895年にかけて西太后が再建を進め、1888年に頤和園と改称する。この事業に海軍経費が流用されたことはよく語られるが、流用額については史料により見解が大きく分かれる。1900年に八カ国連合軍の侵入で再び荒らされ、1902年に修復。1914年に有料で公開され、1924年には公園となった。

建築的特徴

設計の主題は「借りること」である。昆明湖の輪郭は杭州の西湖に倣い、西堤には西湖の蘇堤を写した六つの橋を架ける。湖に浮かぶ三島は東海の三神山になぞらえ、後山の四大部洲はチベットのサムイェ寺を、蘇州街は蘇州の商業街を模す。園外の玉泉山の塔と西山の稜線は借景として湖の眺めに組み込まれる。万寿山南面の中軸線は排雲殿から佛香閣へ登り、高さ20メートルの石造基壇の上に立つ三層41メートルの八角閣が全園の焦点をなす。頂部の智慧海は木材を用いず瑠璃瓦と磚で組み上げた無梁殿である。湖岸を東西に貫く長廊は全長728メートルに及び、斗栱と梁枋には山水・故事・小説の場面が隙間なく描かれる。東堤と南湖島を結ぶ十七孔橋は長さ150メートル・幅8メートル、大理石造の石舫は長さ36メートルで、1860年に焼けた木造の船屋を洋式の外輪付きに改めて再建したものである。

意義・現在

頤和園は、皇帝の庭園が国土の名勝を縮景として収集する装置であったことを、最も大きな規模で示す例である。同時に、その建築群の大半は19世紀末の再建であり、乾隆期の造営、英仏軍による破壊、西太后期の復興という三つの層が重なっている。庭園の歴史がそのまま王朝末期の縮図として語られてきたのもこのためである。1953年以降は公園として一般に開放され、現在は北京有数の観光地であるとともに、水面と山影を含む景観全体を保存対象とする、中国の大規模庭園保護の代表的な現場となっている。

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LAST EDIT — 2026.08.30
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