アルジェンティーナ劇場 Teatro Argentina
ローマ中心部、トッレ・アルジェンティーナ広場に面する歴史的劇場。1731〜32年にジローラモ・テオドリの設計で建てられたローマ最古級の劇場で、古代ポンペイ劇場の遺構の上に建つ。1816年にはロッシーニ《セビリアの理髪師》が初演された。
§1 — 概要概要
アルジェンティーナ劇場(Teatro Argentina)は、イタリアの首都ローマの中心部、トッレ・アルジェンティーナ広場に面して建つ劇場・歌劇場である。ローマでもっとも古い劇場の一つで、18世紀以来、オペラと演劇の上演の場として歴史を重ねてきた。広場の名は古代ローマのポンペイ劇場に付属した一画に由来し、劇場はその遺構の上に建てられている。この一画は、紀元前44年にユリウス・カエサルが暗殺された場所として知られ、劇場はローマ史の劇的な舞台のただ中に立つことになった。
歴史
劇場は、ローマの名門スパーダ家の依頼により、建築家ジローラモ・テオドリの設計で1731年に着工し、1732年1月31日にドメニコ・サッロのオペラ《ベレニーチェ》で開場した。以後ローマの音楽生活の中心の一つとなり、1816年2月にはロッシーニのオペラ《セビリアの理髪師》がここで初演された(初日は不評に終わったことでも知られる)。19世紀には街路に面するファサードが新古典主義の意匠に改められ、現在の外観が整えられた。
建築的特徴
内部は、イタリアの歌劇場に典型的な馬蹄形の平面をもつ。舞台に向かって湾曲する観客席を、何層もの桟敷(ボックス席)が幾重にも取り囲み、垂直方向に積み上がる。この形式は、声を客席へよく届かせる音響上の合理性と、貴族の社交の場としての性格を同時に満たすものであった。バロック期の劇場建築が完成させたこの空間構成を、アルジェンティーナ劇場は今日までよく伝えている。
意義・現在
ローマの劇場史を18世紀から連続して体現する建物として、アルジェンティーナ劇場の価値は大きい。古代の劇場遺構の上に近世の劇場が建つという立地そのものが、都市の重層した歴史を物語る。現在もローマ市立劇場(テアトロ・ディ・ローマ)の本拠地の一つとして現役で稼働し、演劇・音楽の公演が続けられている。