ヴェネツィアを代表するオペラ劇場。建築家ジャンアントニオ・セルヴァの設計で1792年に開場した新古典主義の劇場で、たびたびの火災から「不死鳥(フェニーチェ)」のように再建を重ね、ヴェルディら名作の初演の舞台となった。
§1 — 概要概要
フェニーチェ劇場(Teatro La Fenice、正式名 Gran Teatro La Fenice)は、イタリア・ヴェネツィアにあるオペラ劇場である。1792年、建築家ジャンアントニオ・セルヴァの設計で開場した新古典主義の劇場で、19世紀のベルカント・オペラを彩る数々の初演の舞台となった。「フェニーチェ」すなわち不死鳥の名は、火災による焼失と再建を繰り返しながらよみがえってきた、この劇場の歴史を象徴している。
歴史
劇場は1790年に着工され、1792年5月16日に開場した。ロッシーニ、ベッリーニ、ドニゼッティ、そしてヴェルディの作品がここで初演され、なかでもヴェルディの『リゴレット』(1851年)や『椿姫』(1853年)の初演は名高い。1836年の火災で焼失すると、メドゥーナ兄弟(技師トンマーゾと建築家ジョヴァンニ・バッティスタ)の手で翌1837年に再建された。さらに1996年には放火によって内部を焼失したが、「あった場所に、あった姿で(dov'era, com'era)」の原則のもとに忠実に復元され、2003年末に再開した。
建築的特徴
セルヴァによる当初の劇場は、簡潔な新古典主義のファサードと、内部の華麗な馬蹄形の客席とを対比させる構成をとる。客席は四層から五層の桟敷席が馬蹄形に積み上がり、舞台と客席を仕切るプロセニアムを額縁として、金と赤を基調とした装飾が空間を包む。19世紀の再建で加えられた絢爛な内装は、現在の復元にも受け継がれている。
意義・現在
フェニーチェ劇場は、イタリア・オペラ史における最も名高い劇場の一つに数えられ、ヴェネツィア潟とともに世界遺産に登録された歴史都市の文化的な中核を担う。度重なる焼失を乗り越えて再建されてきたその歩みは、劇場という建築が単なる器ではなく、都市の記憶と上演の伝統を宿す存在であることを物語っている。現在も歌劇や演奏会の場として現役であり、毎年の新年コンサートの舞台としても知られる。
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