テルアビブ美術館 Tel Aviv Museum of Art
イスラエル有数の近現代美術館。1932年に創立し、1971年に開館したブルータリズムの本館に、2011年完成のプレストン・スコット・コーエン設計による鋭角的な新棟が連なる複合体である。
§1 — 概要概要
テルアビブ美術館(Tel Aviv Museum of Art)は、イスラエル・テルアビブの中心部、シャウル・ハメレフ通りに建つ近現代美術の拠点である。イスラエルと世界の近代・現代美術を体系的に収蔵し、年間百万人規模の来館者を集める同国有数の美術館として知られる。創立から現在までに複数の建物が増築され、年代の異なる建築が一体となった複合体を成している。
歴史
美術館は1932年、初代テルアビブ市長メイル・ディーゼンゴフが市に寄贈した自邸(ロスチャイルド大通り16番地、現在の独立記念館)を改装して開館した。この最初の館はカール・ルビンが手がけている。1948年5月14日には、この建物でイスラエルの独立宣言が読み上げられた。収蔵品の増加に伴い、1959年にヘレナ・ルビンシュタイン館が、続いてシャウル・ハメレフ通りに新本館の建設が計画される。本館は1966年に着工したのち資金難で一時中断し、1971年に開館した。設計は、コンペで選ばれたダン・エイタンとイツハク・ヤシャルによる。2011年には西側に、プレストン・スコット・コーエン設計のヘルタ・アンド・ポール・アミール棟が加わった。
建築的特徴
1971年の本館は、コンクリートの素材感をそのまま見せる打放しコンクリートのブルータリズム建築である。エイタンとヤシャルの案は、それぞれ約800平方メートルに及ぶ四つの大きなギャラリーを、展覧会の開会式に用いる高い中央ホールの周囲に配する構成をとった。光を制御しつつ展示空間を確保する、量塊的で抑制された外観が特徴である。一方、2011年のアミール棟は、ねじれた幾何学的なヴォリュームと、上層から自然光を落とす吹き抜け「光の滝(Lightfall)」を中心に据え、旧本館とは対照的な動的な内部空間を生み出している。
意義・現在
テルアビブ美術館は、20世紀イスラエル建築の歩みを一所に見せる場でもある。1932年の国際様式の改装館に始まり、1971年のブルータリズムの本館、そして21世紀の幾何学的な増築へと、各時代の設計言語が並置されている。収蔵・展示の両面で同国の近現代美術を代表する機関であり続け、本館前の広場は社会的な集会の場としても用いられてきた。