EST. 2026 — Editorial Archive of Notable Architecture
ギザの大スフィンクス
© MusikAnimal / CC BY-SA 3.0
FIG. 01 — Q130958
様式 · 古代エジプト建築 時代 · 古代 類型 · その他 ★ 世界遺産「メンフィスとその墓地遺跡 ―ギーザからダハシュールまでのピラミッド地帯―」(1979年登録)

ギザの大スフィンクス The Great Sphinx

ギザ台地の石灰岩の岩盤から彫り出された、人頭獅身の巨像。全長73m、高さ20m。前26世紀のクフ王ないしカフラー王の治世に造られたとされる、エジプトに現存する最古の記念碑的彫像である。

FIG. 02 — Location29.9753° N 31.1377° E
エジプト ギーザ県 ギーザ
§1 — 概要

概要

ギザの大スフィンクスは、ナイル川西岸のギザ台地に東を向いて横たわる、人間の頭と獅子の身体をもつ巨像である。全長は前肢の先から尾まで73m、基部から頭頂まで20m、後肢の幅は19mに達する。石材を運んで組み上げたのではなく、台地をつくる始新世の石灰岩の岩盤を掘り下げ、掘り残した岩塊を彫り上げた一体彫成の作品であり、エジプトに現存する記念碑的彫像としては最古のものとされる。メンフィスの墓地遺跡の一部をなす。

歴史

制作年代と造営者は確定していない。考古学的な証拠が示すのは前2600年から前2500年の間、クフ王(在位前2590年頃–前2566年頃)もしくはその子カフラー王(在位前2558年頃–前2532年頃)の治世という幅である。顔がクフ、ジェドエフラー、カフラーの誰を写したのかについても学説は一致していない。エジプトの地質学者ファルーク・エル=バズは、風が岩盤を削って生じた尾根から頭部が先に彫り出され、周囲の壕は胴体を彫り出すために後から掘られたとの説を唱える。掘り出された石材は像の前面の神殿に用いられたが、壕も神殿も未完成に終わった。

古王国の造営者がこの像を何と呼んだかは分かっていない。新王国時代には太陽神ホル・エム・アケト(「地平線のホルス」、ギリシア語化してハルマキス)として崇拝され、前14世紀の王トトメス4世は「夢の碑」でそう呼んでいる。「スフィンクス」の名は、制作からおよそ2000年を経た古典古代に、ギリシア神話の獅子身の怪物になぞらえて与えられた名である。中世エジプトのアラビア語名はアブー・アルハウル(「畏怖の父」)という。

鼻が失われた経緯は分かっていないが、顔面の調査からは棒や鑿による意図的な破壊の痕が確認されている。ナポレオンの遠征軍が砲撃で吹き飛ばしたという通説は事実ではない。

建築的特徴

大スフィンクスは「建てられた」のではなく「掘られた」。台地の岩盤はピラミッドのための石切場でもあり、像はその採石の跡に取り残された岩から生まれている。この成り立ちが、像の運命を決めた。岩盤は硬さの異なる層が水平に重なっており、頭部は比較的硬い層に、胴体は軟らかい層にかかる。結果として胴の側面は層ごとに深くえぐれ、頭部は原形をよく保つという、不均等な風化が進んだ。古代から繰り返された修復は、この軟らかい層を石灰岩のブロックで覆い直す作業であり、近年の修復も基部周りの積み直しだった。

彫り出された像であるため、周囲の壕もまた作品の一部である。像は地表に立つのではなく、掘り下げられた窪地の底に横たわっており、見る者は台地の高さから像を見下ろすことになる。

意義・現在

大スフィンクスは、王の顔と獅子の身体を一体にした最古の巨像であり、以後3000年に及ぶエジプトの造形の起点に立つ。同時に、その年代と作者をめぐって決着のつかない議論は、文字による記録を欠いた記念碑がどこまで解読できるのかという問いを突きつけてもいる。ギザのピラミッド群とともに「メンフィスとその墓地遺跡」の構成資産として1979年に世界遺産へ登録された。硬い層と軟らかい層が重なる岩から彫り出されたという出自ゆえに、その保存は今も、失われていく岩をどう補うかという課題に向き合い続けている。

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LAST EDIT — 2026.07.16
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