パリ近郊ラ・デファンスに建つ、フランス有数の超高層オフィスビル。1974年にピエール・デュフォーらの設計で旧UAP本社(トゥール・アシュール)として建てられ、2007–11年にコーン・ペダーセン・フォックスが231メートルへ全面改修。完成時にフランス一の高さとなった。
§1 — 概要概要
トゥール・ファースト(Tour First)は、パリ近郊のビジネス街ラ・デファンス(クールブヴォアの区域)に建つ超高層オフィスビルである。高さ231メートル、地上55階を数え、2011年の完成時にはフランスで最も高い建造物となった。1974年に建てられた既存の塔を、21世紀に入って大規模に改修・増築して生まれた建物であり、ラ・デファンスにおける再生(リノベーション)事業の最も野心的な例として知られる。アシュール、UAP、アクサ、CB31と、入居企業の変遷に応じて幾度も名を変えてきた。
歴史
最初の塔は、ピエール・デュフォーがジャン=ピエール・ダクベールらと設計し、パリ保険連合(UAP)の本社として1974年に竣工した。高さ約159メートル、中央のコアから120度ずつ放射する三翼の平面をもち、これはUAPを生んだ三つの保険会社の合併を象徴していた。1998年、UAPがアクサに吸収されると塔はトゥール・アクサと改称される。入居企業の退去後、2007年3月から2011年秋にかけて、アメリカの設計事務所コーン・ペダーセン・フォックス(KPF)がフランスのSRAと組み、外観と高さの両面にわたる抜本的な改修を行った。既存の塔を約50メートルかさ上げし、床面を広げ、中央コアを解体して新設するという大工事を経て、塔は231メートルへと姿を変え、2008年に現在の名「ファースト」を得た。
建築的特徴
改修後の塔は、全面をガラスのカーテンウォールで覆い、空と雲を映す軽やかな外観をもつ。平面は旧塔の三翼を引き継ぎつつ、上層へ向かって面がねじれるように分節され、平らな屋根をもつ周囲の塔とは異なる起伏ある稜線を空に描く。構造面では強風による揺れを抑える設計が施され、解体・再構築された中央コアが増築された高層部を支える。旧来の銅色をまとった1970年代のオフィス塔が、透明感のある現代的な高層建築へと刷新された点に、この改修の主眼があった。
意義・現在
トゥール・ファーストは、既存ストックを取り壊さずに大規模改修で再生するという、現代の超高層建築が直面する課題に正面から応えた事例である。完成によってモンパルナス・タワー(209メートル)を抜いてフランス一の高さとなり、その後に建つ新世代の超高層を先取りした。2026年に開業したトゥール・ザ・リンクに首位を譲るまで、長くフランス最高層の座を占めた建物である。1970年代の記念碑的な塔を解体せず、その骨格を活かして全く新しい建築へと変貌させた手法は、ラ・デファンスの更新を象徴する試みとして評価されている。
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