リスボンのテージョ川に架かる、ヨーロッパ有数の長大橋。1998年のリスボン万博に合わせ、ミシェル・ヴィルロジューらの設計で1995年から1998年に建設された。斜張橋部と長い高架橋を合わせ、全長は約12キロメートルに及ぶ。
§1 — 概要概要
ヴァスコ・ダ・ガマ橋(Ponte Vasco da Gama)は、ポルトガルの首都リスボンのテージョ川河口部に架かる長大橋である。市街北東のパルケ・ダス・ナソンエス付近から対岸へと渡り、斜張橋部とそれに連なる高架橋を合わせて全長は約12キロメートルに達する。ヨーロッパでも有数の長さを誇る橋で、構造技師ミシェル・ヴィルロジュー、ポルトガルの技師アルマンド・リト、建築家シャルル・ラヴィーニュらの協働によって設計された。
歴史
20世紀後半のリスボンでは、テージョ川を渡る既存の4月25日橋に交通が集中し、慢性的な渋滞が問題となっていた。また、国土の南北を移動する通過交通が首都を経由せざるを得ない状況の解消も求められていた。これを受けて新たな渡河路が計画され、1995年2月に建設が始まった。橋は1998年3月29日、ヴァスコ・ダ・ガマによるインド航路発見500周年を記念するリスボン万博(エキスポ98)の開幕に合わせて開通した。橋の名は、この大航海時代の航海者にちなむ。
建築的特徴
橋の中心をなすのは、テージョ川の主流部を一気に渡る斜張橋である。川面から高くそびえる一対の主塔は約155メートルの高さを持ち、そこから扇状に張られたケーブルが桁を吊る。その前後には、低い高架橋が水面近くを延々と続き、広大な河口の湿地と浅瀬を越えていく。船舶の通航のため主径間の桁下空間は高く確保され、長大な構造物でありながら、水平に伸びる桁と垂直の主塔が河口の景観に明快なリズムを与えている。
意義・現在
ヴァスコ・ダ・ガマ橋は、リスボンの交通網を大きく改善するとともに、万博と結びついた都市再開発の象徴となった。橋の北詰一帯は、万博跡地を再生したパルケ・ダス・ナソンエスとして、住宅・商業・文化の新しい街区に生まれ変わっている。土木技術と建築的造形を統合した現代の長大橋として、ポルトガルを代表するインフラ建築の一つに数えられる。