ヴィラ・ロトンダ Villa La Rotonda
ヴィチェンツァ近郊の丘に立つ、パッラーディオ設計の別荘。正方形平面の四方すべてに同じ神殿風の柱廊を備え、中央に円形の広間とドームを戴く、完璧な左右対称のルネサンス古典主義の傑作。
§1 — 概要概要
ヴィラ・ロトンダ(Villa La Rotonda、正式にはヴィラ・アルメリコ・カプラ)は、北イタリア、ヴィチェンツァ近郊の丘に立つ別荘で、アンドレア・パッラーディオの設計による。1567年ごろに着工された。完全な左右対称と明快な比例によるルネサンス古典主義の極致として、後世の建築に絶大な影響を与えた。
歴史
聖職者パオロ・アルメリコの隠居所として構想された。パッラーディオの存命中には完成せず、その死後、建築家ヴィンチェンツォ・スカモッツィが受け継いで、16世紀末に完成させた。のちにカプラ家の所有となり、その名でも知られる。1994年以降、「ヴィチェンツァ市街とヴェネトのパッラーディオ様式の邸宅群」の一つとして世界遺産に登録されている。
建築的特徴
正方形の平面の中央に円形の広間を据え、その上にドームを戴く(「ロトンダ=円形」の名はこれに由来する)。四方すべての面に、古代神殿の正面を思わせる同じ柱廊(ポルティコ)が張り出し、六本のイオニア式円柱と三角破風(ペディメント)が、どの方角から見ても等しい荘厳な表情をつくる。丘の上に置かれたこの完璧な対称形は、四方に開けた眺めを室内に取り込む装置でもあった。実用よりも理念を体現した、住むための神殿である。
意義・現在
ヴィラ・ロトンダは、パッラーディオの理想を最も純粋に示した作品として、建築史上、屈指の影響力をもつ。四面のポルティコと中央ドームという構成は、のちのイギリス(チズウィック・ハウス)やアメリカ(ジェファソンのモンティチェロ)でくり返し引用された。現在も保存され、一般にも公開されている。