ロンドンのハイド・パーク・コーナーに立つ凱旋門。デシマス・バートンの設計により1826年から1830年に建てられた新古典主義の記念門で、頂には欧州最大級の青銅像クアドリガを戴く。
§1 — 概要概要
ウェリントンアーチ(Wellington Arch)は、ロンドン中心部のハイド・パーク・コーナーに立つ凱旋門である。コンスティテューション・アーチ、当初はグリーン・パーク・アーチとも呼ばれた。建築家デシマス・バートンの設計になる新古典主義の記念門で、頂を飾る青銅のクアドリガ(四頭立て馬車)像とともに、首都を代表する記念物の一つに数えられる。
歴史
アーチは1825年、国王ジョージ4世がナポレオン戦争の勝利を記念して、マーブル・アーチとともに計画した。バッキンガム宮殿へ至る壮麗な導入路の一部として構想され、バートンの設計案が採択されて1826年から1830年に建設された。しかし1828年の公共事業費の凍結により、当初予定された彫刻装飾の大半は省かれ、素の姿で完成した。1846年には初代ウェリントン公の巨大な騎馬像が頂に据えられ、これが「ウェリントンアーチ」の名の由来となったが、過大なその像は激しい論争を呼んだ。1882年から1883年にかけてアーチは解体され、現在地へわずかに移して建て直され、騎馬像は再設置されずアルダーショットへ移された。
建築的特徴
アーチは単一の大きな開口をもち、コリント式のオーダーを用いた新古典主義の作である。当初の案はローマのティトゥスの凱旋門に倣ったが、より壮大さを求める委員会の意向を受け、ローマの広場で見出された断片を範とする案に改められた。建物全体をコリント式のエンタブレチュアが巡り、古代の石工には成し得なかった中央の大開口を、鋳鉄の梁を用いて跨いでいる。頂部の平滑な壁体は、彫刻を戴くための台座として設けられたものである。
意義・現在
1912年以降、アーチの頂にはエイドリアン・ジョーンズによる青銅像「戦争のクアドリガに降り立つ平和」が据えられている。この群像はヨーロッパ最大級の青銅彫刻とされ、アーチの象徴となっている。内部は複数層の部屋を備え、かつてはロンドン最小の警察署が置かれたこともあった。現在はイングリッシュ・ヘリテッジが管理し、展望室を備えた記念物として一般に公開されている。第一級指定建造物(Grade I)として手厚く保護されている。