ウェスターケルク Westerkerk
アムステルダム中心部、プリンセン運河に面するプロテスタント教会。ヘンドリック・デ・ケイゼルの設計で1620年に着工し1631年に献堂された、オランダ・ルネサンスを代表する建築。高さ85メートルの塔は市内で最も高い。
§1 — 概要概要
ウェスターケルク(Westerkerk、「西教会」の意)は、アムステルダム中心部の運河環状地区(フラハテンゴルデル)西端、プリンセン運河沿いに建つプロテスタント(オランダ改革派)の教会である。1620年に着工し1631年に献堂された、オランダ・ルネサンス建築を代表する作例で、設計者ヘンドリック・デ・ケイゼルの最後の大作にあたる。宗教改革ののち「プロテスタントの礼拝のために新築された」最初期の教会のひとつであり、現在もオランダ国内でこの目的のために建てられた最大の教会である。
歴史
設計はアムステルダム市建築家ヘンドリック・デ・ケイゼルが手がけたが、彼は着工の翌1621年に世を去り、工事は息子ピーテル・デ・ケイゼルが引き継いで完成させた。1631年6月8日、聖霊降臨祭に献堂式が営まれている。当時のカルヴァン派は教会内の器楽を世俗的なものとして退けたため、献堂時にはオルガンがなく、設置をめぐる長い議論を経て、1680年代にようやく大オルガンが据えられた。塔(ウェステルトーレン)は1638年に完成し、頂部にはアムステルダム市の紋章に冠せられた、ハプスブルク家マクシミリアン1世に由来する皇帝冠の意匠が載る。
建築的特徴
平面は身廊と二つの側廊からなる三廊式のバシリカで、等しい寸法の翼廊を二つ備えるため、二つのギリシア十字を連ねた十字形をなす。高い身廊を低い側廊が挟む構成は明快で、内部は白い壁と大きな窓により、偶像を避けるプロテスタントの礼拝にふさわしい簡素で明るい空間となっている。長さ58メートル、幅29メートル。煉瓦と砂岩を組み合わせた外観や段状に積み上がる塔の構成は、デ・ケイゼルが確立したアムステルダム・ルネサンスの語彙を示している。
意義・現在
高さ85メートルの塔は市内で最も高く、アムステルダムの景観を象徴する存在である。画家レンブラント・ファン・レインは1669年にこの教会に葬られたが、正確な埋葬位置は分かっていない。塔のすぐ近くにはアンネ・フランクが隠れ住んだ家があり、その日記には鐘の音への言及が残る。教会は今日もオランダ・プロテスタント教会の礼拝に用いられ、コンサートや式典の場としても活きている。