EST. 2026 — Editorial Archive of Notable Architecture
エレバン・カスケード
© Gerd Eichmann / CC BY-SA 4.0
FIG. 01 — Q2940844

エレバン・カスケード Yerevan Cascade

エレバン市街を見下ろす凝灰岩の巨大な階段状建造物。アレクサンドル・タマニアンの都市軸構想に発し、1970年代にジム・トロシアンらが設計、2009年に美術館を擁する複合施設として開かれた。

FIG. 02 — Location40.1914° N 44.5155° E
アルメニア エレバン エレバン
§1 — 概要

概要

エレバン・カスケード(Yerevan Cascade)は、アルメニアの首都エレバンの中心部に築かれた、丘の斜面を上る巨大な階段状の建造物である。アルメニア産の石材である凝灰岩(トゥファ)で覆われ、噴水や彫刻、テラスを連ねながら、市街と、晴れた日には遠くアララト山を望む。

歴史

その起源は、20世紀初頭にエレバンの都市計画を手がけた建築家アレクサンドル・タマニアン(Alexander Tamanyan)の構想にさかのぼる。タマニアンは1920年代の基本計画で、市街と高台の公園を結ぶ緑の都市軸を描いたが、当時その軸線上に構造物が実現することはなかった。実際のカスケードの設計は1970年代初頭、ジム・トロシアン(Jim Torosyan)、サルキス・グルザディアン(Sargis Gurzadyan)、アスラン・ムヒタリアン(Aslan Mkhitaryan)らによって進められた。建設は1980年に始まったが、1980年代末の混乱——1988年の大地震、ソ連の崩壊、ナゴルノ・カラバフをめぐる紛争——により中断する。2002年から2009年にかけてカフェスジャン財団の支援で工事が再開され、2009年、内部に美術館(カフェスジャン美術館)を擁する複合施設として開かれた。

建築的特徴

全体は複数の段(テラス)を積み上げた階段状の構造で、外装にはアルメニアの伝統的な建材である凝灰岩が用いられ、幾何学的な装飾やレリーフが施されている。直線と段差を強調した造形にはアール・デコの感覚が認められ、各テラスには噴水や現代彫刻が配される。階段の内側には外から見えないエスカレーターが通り、最上部の展望テラスへと至る。

意義・現在

エレバン・カスケードは、タマニアンの都市構想を半世紀を超えて受け継ぎ、ソ連期からポスト・ソ連期にまたがって完成した稀有な都市建造物である。現在はカフェスジャン美術館を中核とする文化施設として、屋外の彫刻庭園とともに市民や観光客に親しまれている。

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データ: Wikidata (Q2940844) / 画像: © Gerd Eichmann / CC BY-SA 4.0 — Wikimedia Commons
LAST EDIT — 2026.06.23
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