アストルガ大聖堂 Astorga Cathedral
スペイン北西部、サンティアゴ巡礼路に立つカトリックの大聖堂。1471年にロマネスク聖堂の跡へ着工し、後期ゴシックを基調にルネサンス・バロックの意匠が積層した、数世紀にわたる造営の産物である。
§1 — 概要概要
アストルガ大聖堂(スペイン語: Catedral de Santa María de Astorga)は、スペイン北西部カスティーリャ・イ・レオン州レオン県の小都市アストルガに立つカトリックの大聖堂である。ローマ都市アストゥリカ・アウグスタに由来する古い司教座都市であり、フランス人の道(カミーノ・フランセス)と銀の道が交わる巡礼の要衝に位置する。後期ゴシックを基調としながら、ルネサンス、バロック、新古典の意匠を取り込んだ、約三世紀にわたる造営の集積として知られる。
歴史
現在の聖堂は、11〜13世紀のロマネスク聖堂に代わるものとして、1471年8月16日に内陣(後陣)から起工された。着工当初のバシリカ式ゴシックの躯体には、ブルゴスで活動したコロニア工房のフアン・デ・コロニアとその子シモンの関与が推定されるが、確証はなく帰属には議論がある。16世紀にはロドリゴ・ヒル・デ・オンタニョンが造営を引き継ぎ、南扉口(1551年)などにルネサンスの語彙を導入した。その後も工事は断続的に続き、バロックの正面扉口は18世紀初頭、新古典の回廊は1755年に整えられた。双塔のうち北塔が最終的に完成したのは、20世紀半ばのことである。
建築的特徴
平面は三廊式のバシリカで、多角形の後陣を三つ備える。身廊は星形を描くリブ・ヴォールトで覆われ、細い円柱束が荷重を受ける。窓を大きく開く尖頭アーチの構成は、ドイツ・ゴシックとの近縁を指摘される。赤みを帯びた砂岩による双塔の正面は、聖書の場面を密に刻んだバロックの石彫で覆われ、彫刻を石で組んだ祭壇衝立のような外観をなす。南扉口にはプラテレスコの繊細な装飾が見られ、内部にはガスパール・ベセーラによる16世紀の主祭壇衝立など、スペイン・ルネサンス彫刻の名品が収まる。
意義・現在
アストルガ大聖堂は、ゴシックからバロックへと様式が移り変わる過程を一棟のうちに読み取れる「石の年代記」として価値が高い。1931年にスペインの国定建築物(記念物)に指定され、隣接する司教館(アントニ・ガウディ設計)や大聖堂博物館とともに、巡礼路上の文化的拠点をなしている。現在も司教座聖堂として用いられ、サンティアゴへ向かう巡礼者を迎え続けている。