アウクスブルク大聖堂 Augsburg Cathedral
ドイツ・バイエルン州アウクスブルクのカトリック大聖堂。11世紀のロマネスク聖堂を核に、14〜15世紀にゴシックの内陣が加わった。世界最古級の具象ステンドグラス「預言者窓」で知られる。
§1 — 概要概要
アウクスブルク大聖堂(Augsburger Dom)は、ドイツ・バイエルン州アウクスブルクにあるカトリックの大聖堂である。11世紀のロマネスク様式の聖堂を核とし、14〜15世紀にゴシックの内陣などが加えられた。世界でも最古級の具象ステンドグラスとして名高い「預言者窓」を伝えることで知られる。
歴史
この地には古くから聖堂があり、記録は8世紀にさかのぼる。たびたびの被災と再建を経て、11世紀に司教ハインリヒのもとで現在につながるロマネスクのバシリカが建てられ、1065年に献堂された。二基の塔は1075年に完成し、街のどこからも望まれる目印となった。1331年から1431年にかけては、東の内陣をはじめとするゴシックの諸部分が加えられ、聖堂は東西に広がった。16世紀の宗教改革では多くの聖具や美術が失われ、内部は17世紀にいったんバロック風へ改められたのち、19世紀に中世の姿へと一部戻された。
建築的特徴
大聖堂は三廊(のち五廊)の聖堂で、東西の両端に内陣を構える二重内陣という、ドイツのロマネスク建築に特徴的な形式をとる。西の内陣は半円形のアプスをもつロマネスク、東の内陣は周歩廊をめぐらせたゴシックで、その対比に二つの時代が同居する。最大の宝は、身廊上部に残るステンドグラスである。預言者ダヴィデやヨナ、モーセらを描いた「預言者窓」は11世紀末から12世紀初めのもので、現存する具象ステンドグラスのうち世界最古級とされる。ほかにも、旧約・新約の場面を刻んだ11世紀の青銅扉や、西の内陣の下に広がる10世紀の地下聖堂など、各時代の遺産を重ねもつ。
意義・現在
アウクスブルク大聖堂は、ロマネスクからゴシックへと連なる中世建築の歩みを、一つの建物のうちに刻みつけた聖堂である。とりわけ「預言者窓」のステンドグラスは、ガラス絵の歴史の出発点を示す貴重な作例として、美術史に欠かせない位置を占める。バイエルン州の文化財に指定され、第二次世界大戦の被害も限られたこの大聖堂は、今もアウクスブルク司教区の中心として、街の信仰と歴史を伝えている。