コペンハーゲン中心部スロッツホルメン島に建つ17世紀の旧証券取引所。クリスチャン4世の統治下で1619年から1640年にかけて建設され、デンマークのオランダ・ルネサンス様式を代表する。四頭の竜の尾をより合わせた高さ約56メートルの尖塔で知られる。
§1 — 概要概要
旧証券取引所(ボーアセン、Børsen)は、コペンハーゲン中心部のスロッツホルメン島に建つ17世紀の商業建築である。クリスチャン4世の統治下で1619年から1640年にかけて建設され、デンマークにおけるオランダ・ルネサンス様式の代表作として知られる。四頭の竜の尾を編み合わせた特徴的な尖塔をもち、デンマーク議会の置かれるクリスチャンスボー宮殿のすぐ隣に位置する。
歴史
設計は建築家ローレンツ・ファン・ステーンウィンケルとその弟ハンスが担当した。兄ローレンツが着工の年に没したため、工事の大部分は弟ハンスが引き継いで進めた。1619年に始まった建設は1640年に竣工し、デンマーク王室による海上交易の拠点として、また商人たちの取引の場として構想された。1625年に加えられた竜の尾の尖塔は、四頭の竜が建物を敵と火災から守るという象徴的な意味を担っていた。
デンマークの株式市場は1974年までここに置かれ、その後は商工会議所の本部として機能していた。しかし2024年4月16日、改修工事中に発生した火災により銅葺きの屋根と尖塔が焼け落ち、建物の約半分が失われた。多くの美術品は救出されたものの被害は甚大で、同年9月にフレデリク10世が礎石を据えて再建工事が開始された。復元は創建当時と同じ素材・工法を用いて進められており、完了までにはおよそ5年が見込まれている。
建築的特徴
赤煉瓦の壁を明るい砂岩で縁取り、急勾配の屋根を装飾的な破風で隠す構成は、オランダ・ルネサンス様式の典型である。窓や破風には、革帯を切り抜いて折り曲げたように見せるストラップワークの装飾が施されている。
最大の特徴は、中央にそびえる高さ約56メートルの竜の尾の尖塔である。四頭の竜の尾が天へ向かって絡み合い、頂部に三つの王冠を戴く意匠は、北欧建築でも比類のない造形として名高い。三つの王冠はデンマーク・ノルウェー・スウェーデンの統合を象徴するとされる。
意義・現在
ボーアセンは、クリスチャン4世の時代の商業的野心と北方ルネサンスの装飾感覚を今日に伝える建築として、約400年にわたりコペンハーゲンの象徴であり続けてきた。2024年の火災で大きな被害を受けたが、現在は長期の再建が進行中である。失われた尖塔と屋根は記録と残された部材をもとに復元されており、ヨーロッパにおける近年の文化財復興の重要な試みのひとつとなっている。