中国銀行タワー Bank of China Tower
香港・中環に立つ超高層ビル。イオ・ミン・ペイの設計、レスリー・ロバートソンの構造で1990年に完成した。三角形に分割された塔体を露出した架構で支え、その姿を竹の成長になぞらえた。
§1 — 概要概要
中国銀行タワー(Bank of China Tower)は、香港島・中環に立つ超高層ビルである。中国銀行(香港)の本店が入る。屋上までは315メートル、塔頂の二本のマストを含めて367メートルに達する。三角形に分割された塔体をカーテンウォールのガラスで覆った姿は、香港を代表するランドマークの一つとなっている。
歴史
1985年、旧マレー・ハウスの跡地で着工し、1990年に竣工した。敷地にあった植民地時代のマレー・ハウスは、解体されたうえスタンレー地区へ移築されている。設計はアメリカの建築家イオ・ミン・ペイ、構造設計はレスリー・ロバートソンが担い、施工は日本の熊谷組が行った。設計者ペイの父は、かつて中国銀行の要職にあった人物でもある。完成時は香港およびアジアで最も高く、アメリカ国外で初めて高さ305メートル(1000フィート)を超えた超高層ビルであった。
建築的特徴
四隅の柱に荷重を集め、斜材で各層へ伝えるトラス状の鉄骨フレームが構造の要であり、内部に柱を立てずに高層を実現した。四隅へ荷重を集めるこの方式は鉄骨量を大きく抑え、同規模の塔に比べて鋼材を節約したとされる。外観に現れる三角形の分割はこの架構をそのまま映したもので、平面は正方形を対角線で四つの三角形に分けた構成をとり、四つの区画はそれぞれ異なる高さで断面を減じ、頂部に向けて一本へと収斂してゆく。台風の多い香港にあって、この架構は強風への抵抗にも有利であった。ペイはこの伸び上がる形を竹の節の成長になぞらえた。鋭い稜線をめぐっては、隣接する建物へ「刃」を向けるとして風水の議論も呼んだ。
意義・現在
構造の論理を造形へ直結させた点で、20世紀末の超高層建築を代表する作品である。完成から1992年まで香港で最も高い建物であり続け、香港の金融街を象徴する存在として、構造そのものを意匠とする設計の一つの到達点に位置づけられている。