中国・広州、珠江のほとりに立つ高さ600メートルの観光・電波塔。オランダのIBAとアラップが設計し、24本の鋼管が回転しながらくびれる双曲面の姿から「細い腰」の愛称で親しまれる。2010年のアジア競技大会に合わせて開業した。
§1 — 概要概要
広州塔は、中国広東省広州市の海珠区、珠江の南岸に立つ高さ600メートルの多目的タワーである。正式名称は広州電視天文観光塔。展望・放送・飲食・娯楽の機能をあわせもち、2010年に完成した当時は世界一高い塔であった(現在は東京スカイツリーなどに抜かれている)。中央が細くくびれた独特の輪郭から、現地では「小蛮腰(細い腰)」の愛称で呼ばれる。
歴史
2004年、オランダの設計事務所インフォメーション・ベースト・アーキテクチャ(IBA)と構造設計のアラップが、国際設計競技を勝ち取った。リチャード・ロジャースやKPFといった大手を抑えての受注であった。2005年11月に着工し、2008年に主体構造が頂部に達し、2009年に塔体が完成した。2010年9月30日、広州で開かれる第16回アジア競技大会に合わせて一般公開された。当初の計画高さは約610メートルだったが、航空安全への配慮からアンテナ部を短縮し、600メートルに収められた。
建築的特徴
塔は、上下で向きをずらした二つの楕円の輪を、24本の鋼管の柱がねじれながら結ぶ双曲面構造からなる。直線の鋼材だけで滑らかにくびれた曲面を生み出すこの形式は、まっすぐな柱を傾け交差させることで風や地震に強い骨組みとなる。鉄筋コンクリートの内筒と鉄骨の外筒を床で結んだ二重構造で、最も細い「腰」の部分でかえって構造の妙が際立つ。夜間には1000を超えるLEDが塔全体を彩り、広州の夜景の中心となる。
意義・現在
広州塔は、急成長する華南の経済力と都市の野心を体現するランドマークとして構想された。男性的で直線的な従来の超高層に対し、設計者は複雑で透明感のある「女性的」な塔を目指したと語っている。展望デッキや回転レストラン、観覧車などを備え、放送施設と観光名所を兼ねる。完成から十数年を経た現在も、珠江新城の対岸にそびえ、広州を象徴する存在であり続けている。