チャンディーガル・キャピトル・コンプレックス Chandigarh Capitol Complex
インド・チャンディーガルに建つ政庁建築群。独立後のパンジャーブ州の新首都として、ル・コルビュジエが都市計画とともに設計した。議事堂・事務局・高等裁判所の3棟からなり、打放しコンクリートによる20世紀建築の傑作として2016年に世界遺産に登録された。
§1 — 概要概要
チャンディーガル・キャピトル・コンプレックス(Chandigarh Capitol Complex)は、インド北部の都市チャンディーガルに建つ政庁建築群である。分離独立によって旧州都ラホールをパキスタンに失ったパンジャーブ州の新首都を築く計画の中心として、ル・コルビュジエが都市計画とともに設計した。議事堂(パレス・オブ・アセンブリー)、事務局(セクレタリアト)、高等裁判所の3棟と、「開かれた手」をはじめとする記念碑から構成される。打放しコンクリートによる記念碑的な造形は、20世紀建築の傑作の一つに数えられ、2016年にはユネスコ世界遺産に登録された。
歴史
1947年のインド分離独立により、パンジャーブ州は州都ラホールを失った。初代首相ジャワハルラール・ネルーは、「過去の伝統にとらわれない、未来への信念の象徴」となる新都市の建設を構想する。当初の都市計画はアルバート・マイヤーらが手がけていたが、1950年に協働者の建築家が事故で世を去り、計画は引き継ぎ手を失った。1951年、ル・コルビュジエがこれを引き受ける。条件としていとこのピエール・ジャンヌレが常駐建築家として加わり、ほかにイギリスの建築家夫妻マクスウェル・フライとジェーン・ドルー、多くのインド人建築家が参加した。ル・コルビュジエは都市の基本計画を自らの構想に練り直し、その北端、丘陵を背にした位置にキャピトル・コンプレックスを据えた。建築群は段階的に建てられ、高等裁判所が1955年に、事務局が1958年に、議事堂が1962年に竣工した(議事堂の開館は1964年)。
建築的特徴
3棟はいずれも、型枠の跡を残した打放しコンクリート(ベトン・ブリュット)によって築かれている。強い日差しと暑熱に応えるため、深い庇や日除けルーバー(ブリーズ・ソレイユ)、二重屋根、水盤などが用いられ、建築そのものが気候を調整する装置として構想された。高等裁判所は、本体を覆う巨大な傘状の屋根と、原色で塗り分けられた柱列をもつ。議事堂は、円形の議場を四角い外形のなかに納め、冷却塔を思わせる双曲面の殻が屋上に突き出す。いずれもピロティや自由な立面といったル・コルビュジエの語彙を、記念碑的な規模で展開している。広場には、彼が考案した「開かれた手」の記念碑が立つ。
意義・現在
キャピトル・コンプレックスは、ル・コルビュジエが手がけた最大の建築群であり、その都市・建築思想を最も大きな規模で実現した作品である。2016年、7か国にまたがる「ル・コルビュジエの建築作品:近代建築運動への顕著な貢献」の構成資産の一つとして、ユネスコ世界遺産に登録された。インド国内でも国の重要建造物として保護されている。現在もパンジャーブ・ハリヤーナー両州の政庁として使われ続けており、機能を保ちながら歴史的建造物としての価値をどう守るかが課題となっている。一方で、その圧倒的な規模と厳しい造形は、官の威容として批判的に語られることもある。
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