国際連合本部ビル Headquarters of the United Nations
ニューヨーク、イースト川沿いに建つ国際連合の本部。1952年完成。板状の事務局棟と低層の総会議場棟からなる国際様式の代表作で、戦後モダニズムが掲げた合理性と国際協調の理想を体現する。
§1 — 概要概要
国際連合本部ビル(Headquarters of the United Nations)は、ニューヨーク・マンハッタンのイースト川に面した区域に建つ、国際連合の中枢施設である。1952年に完成し、ガラスのカーテンウォールに覆われた39階建ての事務局棟と、緩やかに反る屋根を持つ総会議場棟を中心に構成される。特定の国家に属さない国際領域として運営され、戦後モダニズムが掲げた合理性と国際協調の理想を建築の形に表した記念碑として知られる。
歴史
第二次世界大戦後、恒久的な本部を求めた国際連合は、実業家ジョン・D・ロックフェラー2世の寄付を受けて1947年にこの敷地を取得した。設計はウォーレス・ハリソンを長とする国際設計委員会に委ねられ、ル・コルビュジエやオスカー・ニーマイヤーら各国の建築家が案を持ち寄った。最終案はニーマイヤーとル・コルビュジエの構想を統合したもので、実施設計と監理はハリソン・アンド・アブラモヴィッツが担った。1948年に着工し、1952年に竣工。以後、増改築を重ねながら国際政治の舞台であり続けている。
建築的特徴
敷地は事務局棟、総会議場棟、会議場棟、図書館の四要素から構成される。象徴的な事務局棟は、東西の長い面をガラスのカーテンウォール、南北の短い面を大理石で仕上げた薄い板状の高層棟で、機能を純粋な幾何学形態へ還元する機能主義の思想を体現する。低層部をピロティで持ち上げて地表を開く手法など、ル・コルビュジエの近代建築の語彙が随所に見て取れる。総会議場棟は曲面の屋根と窓の少ない壁面で対照をなし、群としての構成に変化を与えている。
意義・現在
国際連合本部は、複数の国の建築家が協働して生み出した戦後モダニズムの記念碑として、また国際様式が公共建築の規範となった先例として、20世紀建築史に確たる位置を占める。鉄とガラスによる板状高層という形式は、その後の高層オフィスビルの原型となった。現在も国連の活動の中心であり、総会議場や安全保障理事会議場は事前予約のガイドツアーで一般に公開され、世界各地から訪れる人々を迎えている。