アルジェリアの首都アルジェの湾岸に立つ現代のモスク。2012年に着工し2019年に開いた。世界一高い265メートルのミナレットをもち、メッカ、メディナに次ぐ世界第3位の規模を誇る。設計はドイツのKSPユルゲン・エンゲル、施工は中国の建設会社が担った。
§1 — 概要概要
アルジェの大モスク(アラビア語: جامع الجزائر、ジャマーア・エル・ジャザイール)は、アルジェリアの首都アルジェの東郊、湾を望むモハメディア地区に立つ現代のモスクである。礼拝室の面積は約2万2千平方メートルで、12万人を収容できる。メッカの聖モスク、メディナの預言者のモスクに次ぐ世界第3位の規模をもち、高さ265メートルのミナレットは世界一高い。多数の柱を並べる多柱式の伝統的な礼拝室を、現代の構造技術と素材で再解釈した点に特徴がある。
歴史
首都に大モスクを設ける構想は、元大統領アブデルアジズ・ブーテフリカの肝煎りの事業として進められた。2008年1月、ドイツのアンゲラ・メルケル首相の訪問下で国際設計競技が行われ、ドイツの設計事務所KSPユルゲン・エンゲル・アルヒテクテンと、技術者集団クレープス・ウント・キーファーの案が選ばれた。施工は中国最大の建設会社、中国建築集団(CSCEC)が請け負った。2012年8月に最初の基礎打設が始まり、約7年を経て2019年4月に開かれ、最初の礼拝が行われた。総工費は約9億ドルとされ、その巨費と記念碑的な性格はしばしば批判の対象ともなった。正式な落成式は、のちの2024年2月に挙行された。
建築的特徴
礼拝室は一辺約145メートルの巨大な方形の空間で、618本の八角形の柱が立ち並ぶ。東側のミフラーブは白大理石でしつらえられ、直径50メートル・高さ70メートルのドームが空間を覆う。外装には、伝統的な格子窓マシュラビーヤの幾何学を、超高性能コンクリート(UHPC)の軽量パネルで再現した日除けの被膜がまとわされる。礼拝室には約6キロメートルにおよぶカリグラフィーがレーザーで刻まれた。設計は、カイルアンの大モスク以来マグリブに広がった、中央身廊を広くとる多柱式の伝統を範とし、軸からずらして単独で立つミナレットの形式も地域の慣例を踏まえている。一方でそのミナレットは、博物館・研究施設・展望台などを内蔵する37階建ての高層建築でもあり、礼拝の呼びかけ以外の機能を担う点で前例のないものとなった。マグニチュード9.0の地震に耐える構造として設計されている。
意義・現在
アルジェの大モスクは、独立後のアルジェリアの文化的な自己像を体現する記念碑として構想された。ドイツが設計し、中国が施工し、アルジェリアが発注したという成り立ちは、現代建築における国際分業と地政学を映す事例として、しばしば論じられてきた。一方で、地震に耐える先端的な構造研究が投入され、アルジェリアの建設文化を技術面で押し上げたことは、批判者も認めるところである。完成時には265メートルのミナレットがアフリカで最も高い建造物となり(2024年にエジプトの建造物に抜かれるまで)、湾を望む都市の輪郭を一変させた。
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