EST. 2026 — Editorial Archive of Notable Architecture
アルティーノアランチスビル
© F J Jarabeck / CC BY 2.0
FIG. 01 — Q169420

アルティーノアランチスビル Edifício Altino Arantes

Edifício Altino Arantes

サンパウロ中心部に建つアール・デコの超高層ビル。旧サンパウロ州立銀行の本店として1939年に着工し1947年に完成、高さ161メートル。エンパイア・ステート・ビルに倣った段状の塔を鉄筋コンクリートで実現し、約20年間市内一の高さを保った。

FIG. 02 — Location23.5457° S 46.6341° W
ブラジル サンパウロ州 サンパウロ
§1 — 概要

概要

アルティーノアランチスビル(Edifício Altino Arantes)は、ブラジル・サンパウロの旧市街中心部に建つ超高層ビルである。サンパウロ州立銀行(バネスパ)の本店として1939年に着工し、1947年に開業した。高さ161.22メートル、地上35階。上方へ段状にすぼまる塔の姿はニューヨークのエンパイア・ステート・ビルディングに倣ったもので、「バネスパン(大きなバネスパ)」の通称で親しまれる。完成から約20年にわたってサンパウロで最も高い建物であり、現在は文化施設「ファロル・サンタンデール」として公開されている。

歴史

1909年に設立されたバネスパ(当初の名称はサンパウロ州抵当・農業信用銀行)は、業容の拡大にともない新しい本店を必要とした。最初はラモス・デ・アゼヴェード広場が候補とされたが、サン・ベント通りや11月15日通りを中心とする金融街から離れていたため見送られ、ジョアン・ブリコラ通りで慈善病院サンタ・カーザなどから土地と建物を買い取って用地とした。設計は技師・建築家のプリニオ・ボテーリョ・ド・アマラルが担い、施工会社カマルゴ&メスキッタがエンパイア・ステート・ビルディングに近い姿となるよう案を調整した。

1939年9月19日に定礎され、約8年の工事を経て1947年6月27日に開業した。着工時に連邦任命の州執政官として事業を進めたアデマール・デ・バロスが、開業時には州知事として式典に臨んでいる。1948年にはフランスの雑誌が、鉄骨造や鉄骨との混構造が主流であった当時の摩天楼のなかで、これを世界最大の鉄筋コンクリート造の建物と紹介した。1950年代には塔頂にテレビ局TVトゥピの送信アンテナが置かれた。1960年代、銀行の初代ブラジル人頭取アルティーノ・アランチスにちなんで現在の名に改められた。それまで銀行はフランス資本の支配下にあり、アランチスの在任中に州政府が筆頭株主となった経緯による。

2000年にバネスパが民営化されてスペインのサンタンデール・グループに売却されると、建物も同グループの所有となったが、外観にはほとんど手が加えられなかった。市はそれ以前に、アニャンガバウー渓谷一帯の一括指定のなかでファサードと建物の量感を保護していた。州の文化財保護評議会(CONDEPHAAT)は2011年に指定を決議し、2014年の州決議によってファサードと屋上テラスの全体、5つの階、旧銀行の家具などが保護対象となった。2015年には一般公開をいったん停止して内部の改修を行い、2018年1月、サンパウロ市の創設記念日に合わせて「ファロル・サンタンデール」として再開した。

建築的特徴

建物は低層の基壇の上に、セットバックを重ねて細くなる塔を載せた構成をとる。垂直線を強調する柱型の連なり、段状に後退する上部、頂部の小塔へと収束するシルエットは、1920〜30年代のアメリカの摩天楼に学んだアール・デコの造形言語である。ただし構造は鉄骨ではなく鉄筋コンクリートで、この点がアメリカの先例と大きく異なる。窓は1,119か所、エレベーターは14基を数える。

入口ホールは天井高16メートルの吹き抜けで、床には花崗岩が張られ、ブラジルの国土を描いた小さなタイルと銀行名の文字が床面を飾る。1988年にはホールに大型のシャンデリアが吊られた。塔の最上部には展望台があり、晴れた日には半径約40キロメートルを見渡すことができる。足下にはアニャンガバウー渓谷が広がり、マルティネリ・ビルやイタリア・ビルなど中心部の高層建築を一望できる。

意義・現在

アルティーノアランチスビルは、1940年代のサンパウロの経済成長と近代化を示す建物であり、1966年に完成したミランテ・ド・ヴァレに抜かれるまで約20年間、市内一の高さを保った。近くに建つマルティネリ・ビル(1929年)とともに、戦前から戦後初期にかけてのサンパウロ中心部のスカイラインを代表する存在である。現在のファロル・サンタンデールは、展望台に加えて、旧頭取室や窓口を再現した展示、企画展示室、スケートボードのランプなどを備え、長く銀行本店として限られた人しか入れなかった建物を広く市民に開いている。

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LAST EDIT — 2026.10.09
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