ローマ国立近現代美術館 Galleria Nazionale d'Arte Moderna e Contemporanea di Roma
ローマのヴァッレ・ジューリアに建つ国立の近現代美術館。1911年の万博のためチェーザレ・バッツァーニが神殿正面を模した美術宮として設計し、1915年に1883年創設のギャラリーの本拠となった。19–20世紀イタリア美術の最大級の所蔵で知られる。
§1 — 概要概要
ローマ国立近現代美術館(Galleria Nazionale d'Arte Moderna e Contemporanea di Roma、略称GNAM)は、ローマ北部、ヴィッラ・ジューリアにほど近いヴァッレ・ジューリアに建つ国立美術館である。19世紀から現代にいたるイタリア美術を中心に、彫刻・絵画など二万点におよぶ収蔵を擁し、近現代イタリア美術としては国内最大の所蔵を有する。建物は「美術宮(パラッツォ・デッレ・ベッレ・アルティ)」と呼ばれる堂々たる古典主義の建築で、チェーザレ・バッツァーニの設計になる。
歴史
美術館の母体となる国立近代美術館は、1883年に当時の文部大臣グイード・バッチェッリの建議によって設立が定められ、1885年にヴィア・ナツィオナーレの展覧会宮の一室で開館した。機械データではこの1883–85年が建物の年代として記録されていたが、これは美術館という機関の創設・開館年であり、現在の建物が建てられた年ではない。現在の建物は、それから四半世紀のちに別の場所へ新築されたものである。
1911年、イタリア統一50周年を記念するローマ万国博覧会に際し、ヴァッレ・ジューリアに博覧会の主館として「美術宮」が建てられた。設計は建築家・技師のチェーザレ・バッツァーニ。博覧会の閉幕後、1915年に国会議員ジョヴァンニ・ロザーディの主導でこの宮が国立近代美術館の恒久的な本拠と定められ、収蔵品が移された。所蔵の増大にともない、1933年から34年にかけてバッツァーニ自身の手で展示空間を倍増させる増築が行われている。第二次世界大戦中は作品を疎開させて館を閉じたが、戦後に再開し、1988年にはルイジ・コゼンツァ設計の新館が加わった。
建築的特徴
バッツァーニの美術宮は、ギリシア神殿の正面を範とした記念碑的な構成をとる。広い大階段の上に四対の双柱が支える堂々たる列柱廊(プロナオス)が開き、その両側に、やや後退して長い翼部がのびる。ファサード上部にはエルメネジルド・ルッピらによる三つの高浮彫のフリーズが掲げられ、堅固な古典の語彙のなかに、リバティ(イタリアのアール・ヌーヴォー)に通じる花綱や仮面の装飾がまじる。これは、古代やルネサンスの規範を折衷的に組み合わせて公共建築の威厳を演出するボザール様式の典型である。内部は中央の儀礼用大広間を核に展示室が機能的に配され、高い天井と天窓から自然光が注ぐ、近代の美術館にふさわしい明るく可変的な空間が用意された。
意義・現在
ローマ国立近現代美術館は、統一後のイタリアが国家規模で近代美術を顕彰しようとした最初の試みであり、その本拠たる美術宮は、世紀転換期のローマにおける学究的古典主義の代表作である。地方の都市美術館とは異なり、当初から全国を視野に入れた国立館として構想された点に、その独自性がある。今日もイタリア近現代美術の中核的なコレクションを公開し、企画展の舞台としても国際的に知られる。