ガンツ・ヒル駅 Gants Hill tube station
ロンドン東部イルフォードに位置する、ロンドン地下鉄セントラル線の駅。1947年開業。チャールズ・ホールデンの設計になり、モスクワ地下鉄に着想を得た樽型ヴォールトの長大なコンコースで名高い。
§1 — 概要概要
ロンドン東部、イルフォードのガンツ・ヒル地区に位置する、ロンドン地下鉄セントラル線の駅である。1947年に開業し、ホーム階に設けられた樽型ヴォールトの壮大なコンコースで知られる。地下鉄網のなかで最も東に位置する地下駅でもある。
歴史
当駅は、1935年から40年にかけての「新規事業計画」の一環として、セントラル線をレイトンストンからニューベリー・パークへ延伸する区間に計画された。工事は1937年以前に始まり、トンネルの大半は1940年までに掘り上げられたが、第二次世界大戦の勃発により同年6月に中断する。戦時中、駅の部分は防空壕として、レッドブリッジ駅との間の未開通トンネルはプレッシー社の軍需工場として用いられた。工事は終戦後に再開され、1947年12月14日に開業した。設計は、ロンドン地下鉄の数々の駅舎で名高いチャールズ・ホールデンが手がけた。
建築的特徴
当駅の白眉は、ホーム階の中央に長く延びるコンコースである。半円筒形の樽型ヴォールトを連ねた天井が、地下空間に教会堂のような奥行きと荘厳さを与える。この構成は、ホールデンが範としたモスクワ地下鉄の壮麗な駅空間に着想を得たもので、英国の地下鉄駅としては異例の記念碑性をもつ。地上の切符売場は環状交差点の直下に置かれ、地下道を介して各方向の歩道と結ばれている。
意義・現在
両大戦間に確立されたホールデンの明快な近代様式は、戦後に至って当駅で一つの到達点を見せた。実用に徹したロンドン地下鉄の駅舎のなかで、ガンツ・ヒルは空間体験そのものを主題とした数少ない例であり、その建築的価値は高い。現在もセントラル線の駅として利用されている。