ジョン・ハンコック・タワー John Hancock Tower
ボストンのバックベイに立つ、ニューイングランド最高層の超高層ビル。I.M.ペイ事務所のヘンリー・コブが設計した青い反射ガラスの60階建てで、竣工時の窓落下事故でも知られる。
§1 — 概要概要
ジョン・ハンコック・タワーは、米国マサチューセッツ州ボストンのバックベイ地区に立つ60階建ての超高層ビルである。高さ約241メートルで、1976年の竣工以来、ニューイングランド地方で最も高い建物であり続けている。I.M.ペイ・アンド・パートナーズのヘンリー・コブが設計した、青い反射ガラスに覆われた簡潔な国際様式の塔として知られる。
歴史
保険会社ジョン・ハンコック・ミューチュアル生命が本社として発注し、コブは1967年に設計をまとめた。1968年8月に着工したが、基礎の掘削で周囲の地盤が動き、隣接する歴史的建造物トリニティ教会を損傷させて訴訟に発展した。さらに重さ約230キログラムの反射ガラスが強風時に次々と外れて落下し、空いた開口は合板でふさがれて「合板の宮殿」と揶揄された。原因は窓の設計にあると判明し、全面のガラスが交換されている。竣工は1971年の予定から大きく遅れ、1976年にようやく完成した。2015年、ハンコック社の賃借契約満了に伴い、住所にちなむ「200クラレンドン・ストリート」へ改称された。
建築的特徴
平行四辺形の平面をもつ薄い板状の高層体で、全面を青みがかった反射ガラスのカーテンウォールが覆う。突き出た縦の切れ込みが量塊を引き締め、鏡のような外皮が空と周囲の歴史的な街並みを映し込む。上層階で生じる風による揺れを抑えるため、58階には一対のチューンド・マス・ダンパーが設置され、この種の制振装置の先駆的な事例となった。
意義・現在
竣工までの数々の不具合は、超高層建築における反射ガラスの施工法や構造設計、試験手法の見直しを促し、建築技術の歴史に教訓を残した。難産の末に立ち上がった塔は、いまではボストンの街並みを映す洗練された存在として受け入れられ、街を代表する高層建築の一つに数えられている。