ドイツ・ヘッセン州、ラーン川を見下ろす岩山に建つカトリックの大聖堂。聖ゲオルクに捧げられ、初期ロマネスクの建物を初期ゴシックで改築した移行様式を示す。複数の塔と外壁の彩色で知られる。
§1 — 概要概要
ドイツ中部ヘッセン州のリンブルク・アン・デア・ラーンにあるカトリックの大聖堂で、聖ゲオルク(ゲオルクスドーム)に捧げられている。ラーン川沿いの岩山の上にそびえ、遠方からもその姿が望める。1827年に設けられたリンブルク司教区の司教座聖堂であり、ロマネスクからゴシックへの過渡期を体現する建築として知られる。
歴史
岩山の上には早くから聖ゲオルクに捧げる教会が存在したと伝えられるが、最初の聖堂の年代は明らかでない。現在の聖堂は、1180年ごろに始まった大規模な改築によって今日の姿を得た。工事は十二世紀末から十三世紀前半にかけて進められ、1230年ごろにはおおむね完成し、1235年にトリーア大司教によって献堂された。建設はちょうど二つの様式の境目に当たり、重厚なロマネスクの構成を引き継ぎながら、新たに北フランスからもたらされたゴシックの手法を取り入れている。
建築的特徴
平面はラテン十字のバシリカ式をとり、身廊・側廊・翼廊・周歩廊をそなえる。下層には半円アーチを用いるロマネスクの厚い壁体が残る一方、高い身廊を覆うリブ・ヴォールトや、開口部に現れる尖頭アーチはゴシックの語彙であり、両者が一つの建物に同居する。西側の堂々たるウェストヴェルクと、交差部や両端に立つ塔が、複数の尖塔が林立する独特の外観を生んでいる。外壁は赤と白を基調とする彩色で飾られ、1968年から1972年の修復で中世の彩色が復元された。
意義・現在
リンブルク大聖堂は、ライン地方におけるロマネスク=ゴシック移行期建築の代表例として、建築史上重要な位置を占める。岩山の頂に塔を掲げる姿は街のシンボルであり、ヘッセン州の文化財として保護されている。現在も司教区の中心として礼拝に用いられるとともに、その鮮やかな外観と内部空間を目当てに多くの来訪者を迎えている。