リヨン大聖堂 Lyon Cathedral
フランス第二の都市リヨンの旧市街に建つ大司教座聖堂。12世紀後半に着工し、およそ300年をかけて15世紀後半に完成した。ロマネスクの内陣からゴシックの身廊・正面へと様式が移り変わる石造建築で、世界遺産「リヨン歴史地区」を構成する。
§1 — 概要概要
リヨン大聖堂(Cathédrale Saint-Jean-Baptiste de Lyon)は、フランス南東部の都市リヨンの旧市街、ソーヌ川左岸のサン=ジャン地区に建つカトリックの大聖堂である。洗礼者ヨハネに捧げられ、リヨン大司教座が置かれる。フランス各地の大聖堂のなかで突出した規模を誇るわけではないが、12世紀後半から15世紀後半までおよそ300年の歳月をかけて建てられながら、全体として比較的一貫した外観を保つ点に特色がある。1998年、市中心部の歴史的街区とともにユネスコ世界遺産「リヨン歴史地区」の構成資産に登録された。
歴史
現在の聖堂は、6世紀の教会堂の跡地に1175年前後から建設が始まった。まず東端の内陣が半円アーチを多用したロマネスク的な手法で築かれ、その後、身廊から西正面へと工事が進むにつれて尖頭アーチを基調とするゴシックの語法へ移行した。西正面が完成をみたのは15世紀後半、1480年ごろのことで、この最終段階を指揮した記録上の建築家が、サヴォワ地方に出自をもつジャック・ド・ボージュ(〜1418年)である。宗教戦争期の1562年にはユグノーによって彫刻や内部が大きく損なわれ、後世に修復された。
建築的特徴
建物は東から西へと施工年代が下るため、内部を歩くと、後陣のロマネスク的な重厚さから正面側のゴシック的な軽やかさへと、様式の移り変わりを読み取ることができる。西正面は繊細なトレーサリーで飾られ、中央に大きなバラ窓を戴く。内部はリブ・ヴォールトで覆われ、13〜14世紀のステンドグラスがよく残る。北の袖廊には14世紀の天文時計が据えられ、暦と天体の運行を示す装置として今日も稼働している。
意義・現在
リヨン大聖堂は、単一の様式で一気に建てられた大聖堂ではなく、ロマネスクからゴシックへの過渡を一棟のうちに体現する建築として価値が高い。フランスの歴史的記念物(モニュマン・イストリク)に指定され、旧市街ヴュー・リヨンの中核として世界遺産を構成する。現在も大司教座聖堂として礼拝に用いられ、旧市街の石畳とともにリヨン観光の要となっている。