マウリッツハイス美術館 Mauritshuis
オランダのデン・ハーグに建つ、17世紀の貴族の邸宅を用いた美術館。ヤコブ・ファン・カンペンらの設計で1636年から1641年に建てられたオランダ古典主義の代表作で、フェルメール「真珠の耳飾りの少女」などを所蔵する。
§1 — 概要概要
マウリッツハイス(Mauritshuis)は、オランダのデン・ハーグの中心、宮廷池ホフフェイファーのほとりに建つ美術館である。もとは17世紀の貴族の邸宅として建てられた小規模な建物で、ヤコブ・ファン・カンペンとピーテル・ポストの設計になるオランダ古典主義建築の代表作として知られる。現在はフェルメールの「真珠の耳飾りの少女」やレンブラントの「テュルプ博士の解剖学講義」をはじめとする、オランダ黄金時代の絵画の名品を収める美術館として親しまれている。
歴史
この邸宅は、ブラジル総督を務めたナッサウ=ジーゲン伯ヨハン・マウリッツのために、1636年から1641年にかけて建てられた。設計はオランダ古典主義を主導した建築家ヤコブ・ファン・カンペンが担い、実施はピーテル・ポストが手がけたとされる。1704年の火災で内部を焼失したが、まもなく再建された。1822年、国の絵画コレクション(王立絵画陳列室)を収める施設として公開され、以後オランダを代表する美術館のひとつとなった。21世紀には地下に新たなエントランスを設ける増築も行われている。
建築的特徴
建物は左右対称の整然とした、立方体に近い量塊をとり、古代建築の秩序を範とするオランダ古典主義の理念をよく示す。煉瓦の壁面を、白い石材による巨大なピラスターが二層を貫いて分節し、垂直性と落ち着いた格式を与える。柱頭には端正なイオニア式が用いられ、正面と背面の頂部には三角形のペディメントが載って屋根を引き締める。簡素ながら均衡のとれた構成は、過剰な装飾を排して比例の美を重んじた17世紀オランダの趣味を体現している。
意義・現在
マウリッツハイスは、規模こそ小さいながらオランダ古典主義の最も洗練された作例として、建築史上に確かな位置を占める。同時に、限られた点数ながら粒ぞろいのオランダ黄金時代絵画を擁する美術館として世界的に知られ、フェルメールの代表作を求めて各国から人々が訪れる。建物はオランダ国定記念物(Rijksmonument)に登録され、邸宅建築と美術館という二つの価値を併せ持つ存在として大切に守られている。