ロンドン大火のモニュメント Monument to the Great Fire of London
ロンドン旧市街に建つ、1666年のロンドン大火を記念するポートランド石のドーリア式円柱。クリストファー・レンとロバート・フックの設計で1671〜1677年に建造され、高さ約61メートルは火元までの距離に等しい。
§1 — 概要概要
ロンドン大火のモニュメント(Monument to the Great Fire of London)は、ロンドン旧市街(シティ・オブ・ロンドン)、ロンドン橋の北詰近くに建つ、1666年のロンドン大火を記念する記念柱である。ポートランド石を積んだ高さ約61メートル(202フィート)のフルート付きドーリア式円柱で、頂きには金箔を施した炎の壺を戴く。
歴史
1666年9月2日、プディング・レーンの王室御用パン屋から出火した大火は、木造家屋の密集するロンドンを四日にわたって焼き、市の大半を灰にした。再建の一環として、火元の近くに災禍を記念する柱を建てることが決まる。設計を託されたのは、セント・ポール大聖堂を手がけた王室造営局総監クリストファー・レンと、その協力者で市の測量官を務めたロバート・フックである。残されたフックの図面には、単純なオベリスク案、炎をあしらった柱案、そして実際に採用されたフルート付きドーリア式円柱案があり、レンの承認の署名が添えられている。両者の協働は分かちがたく、近年はフックの寄与がより高く評価されている。設計は1671年に承認され、ポートランド石の調達難から工事は六年を要して1677年に完成した。銘文が据えられたのは、さらに二年後である。
建築的特徴
柱身は内部が中空で、頂上の展望台へ通じる311段の螺旋階段が組み込まれている。柱の高さは、火元のプディング・レーンまでの距離(202フィート)に等しく定められた。レンとフックはこの柱を科学装置としても構想し、中空の柱身を天頂望遠鏡に、地下の小部屋を実験室に用いて、王立協会の振り子や気圧の観測を行おうとしたが、往来の振動に阻まれて断念された。台座には、市の破壊と再建を寓意的に表したケイアス・ガブリエル・シバーの浮彫がある。
意義・現在
灰の中から立ち直る都市の記念碑として、また科学と建築が一体となった17世紀イングランドの所産として、モニュメントは今も同じ場所に立つ。イングランドの第一級指定建造物であり、螺旋階段を上れば旧市街の眺望が開ける。