EST. 2026 — Editorial Archive of Notable Architecture
ローマのモスク
© Lalupa / パブリックドメイン
FIG. 01 — Q1789776

ローマのモスク Moschea di Roma

Moschea di Roma

ローマ北郊パリオーリの麓に建つ、ヨーロッパ大陸最大級のモスク。ポストモダンの旗手パオロ・ポルトゲージらが設計し、コルドバの多柱空間を思わせる、椰子のように枝分かれする曲線の柱列で知られる。1995年開堂。

FIG. 02 — Location41.9347° N 12.4950° E
イタリア ラツィオ州 ローマ
§1 — 概要

概要

ローマのモスク(イタリア語: Moschea di Roma、大モスクとも)は、イタリアの首都ローマ北部、パリオーリの丘の麓に建つ大規模なモスクである。敷地面積は約3万平方メートルに及び、ヨーロッパ大陸では最大級の規模を誇る。イタリア・イスラーム文化センターの拠点でもあり、礼拝のほか教育・文化・社会活動の場として用いられている。設計はポストモダン建築の主導者パオロ・ポルトゲージを中心とするチームによる。

歴史

構想は古く、1974年にローマ市が用地を寄贈したことに始まる。1976年の設計競技でポルトゲージ案(パートナーの技師ヴィットリオ・ジリオッティ、イラク出身の建築家サミ・ムサウィとの共同)が選ばれたが、ローマにモスクを建てることへの反対や、ミナレットの高さをめぐる議論などにより着工は遅れた。最初の礎石が据えられたのは1984年、当時のイタリア大統領ペルティーニ臨席のもとであった。建設はおよそ10年を要し、1995年6月21日に開堂式が行われた。教皇ヨハネ・パウロ2世がこの計画に祝福を与えたことが、建設を後押ししたと伝えられる。ミナレットは、近隣のサン・ピエトロ大聖堂のドームをわずかに下回る高さに抑えられた。

建築的特徴

ポルトゲージは、17世紀バロックの巨匠フランチェスコ・ボロミーニ――イスラームの幾何学をキリスト教建築に取り込んだ先駆とされる――への深い関心を、この建物で逆向きにたどり直した。礼拝空間を特徴づけるのは、椰子の木のように枝分かれしながら立ち上がり、曲線を描いて交差する柱列である。これはコルドバの大モスクに代表される「多柱式(森のモスク)」の伝統に、オスマンやペルシアのモスク形式を重ね合わせた解釈であり、鉄筋コンクリートという近代的素材で実現されている。トラバーチンやテラコッタといったローマ伝統の材料が用いられ、淡い色のタイルや繊細な採光によって、「神は光なり」という主題が空間に響く。礼拝の方向を示すミフラーブを中心に、内部は瞑想的な明暗で満たされる。外部には単一のミナレットが立つ。

意義・現在

ローマのモスクは、キリスト教世界の中心地に建つイスラームの大礼拝所として、宗教的多元性を象徴する建築となった。同時に、歴史の様式を引用しつつ新しい総合を志向するポストモダン建築の到達点の一つでもある。ボロミーニのバロックとイスラームの幾何学を一つの空間に結び合わせたこの試みは、ポルトゲージの建築観を最も雄弁に語る作品として評価されている。

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※ イタリアにはパノラマの自由がなく、現代建築である本モスク(パオロ・ポルトゲージ設計、1995年完成)の意匠は著作権の保護下にある。掲載写真は撮影者によりパブリックドメインとして提供されたものを、編集上の解説目的で使用している。
LAST EDIT — 2026.06.26
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