国立自然史博物館 National Museum of Natural History
ワシントンのナショナル・モールに立つスミソニアン協会の自然史博物館。ホーンブロワー&マーシャルの設計で1910年に開館し、緑青のドームとローマ風ポルティコを備えるボザール様式の記念碑である。
§1 — 概要概要
国立自然史博物館(National Museum of Natural History)は、ワシントンD.C.のナショナル・モールに面して立つ、スミソニアン協会の自然史博物館である。建物は地元の建築事務所ホーンブロワー&マーシャルの設計により1904年に着工し、1910年に開館した。緑青を帯びたドームとローマ風のポルティコを備える、首都を代表するボザール様式の記念碑である。
歴史
1903年、合衆国議会が新博物館の建設費を計上し、翌1904年6月に起工した。当初ホーンブロワー&マーシャルは華麗なフランス・バロック風の案を示したが、スミソニアン側はこれを嫌い、1905年に工事を一時停止した。ナショナル・モールの再整備を進めていたマクミラン委員会の建築家チャールズ・F・マッキムとダニエル・バーナムが介入し、ドームを低くしてローマ風の簡素な古典意匠へ改めた。建物は1910年3月に一般公開され、構造体は1911年に竣工している。1960年代には東西の翼棟が増築された。
建築的特徴
平面は中央の八角形の大空間を核に、南・東・西・北へ翼を延ばす対称構成をとる。白い花崗岩のファサードに整然と窓を並べ、モールに向かう正面にはコリント式の柱が並ぶ重厚なポルティコを開く。中心のロタンダは三層の八角形で、頂部をローマのパンテオンに範をとるドームが覆う。このドームにはグアスタヴィーノ・ヴォールトの薄殻タイル構法が用いられ、軽量かつ不燃の大空間を実現している。
意義・現在
本館は、シティ・ビューティフル運動の理念のもとに白い新古典都市を志向したナショナル・モール整備の初期作例であり、以後の同地区の記念碑的建築の規範となった。1957年まで「アメリカ国立博物館」と呼ばれ、1969年に現名称へ改められている。現在もスミソニアン有数の規模を誇り、世界最大級の自然史・文化史コレクションを収める研究・展示の拠点として、年間多数の来館者を迎えている。