首座使徒ペトル・パウェル大聖堂 Peter and Paul Cathedral
サンクトペテルブルクで最も古い記念碑的建造物。ドメニコ・トレジーニの設計により1712年から1733年にかけて建てられ、122.5メートルの金色の尖塔と、歴代ロシア皇帝の墓所として知られる。
§1 — 概要概要
首座使徒ペトル・パウェル大聖堂は、サンクトペテルブルクのペトロパヴロフスク要塞内、ザーヤチー島に建つロシア正教会の聖堂である。市内で最も古い記念碑的建造物であり、設計はドメニコ・トレジーニが手がけた。金色の尖塔は高さ約122.5メートルに達し、正教会の鐘楼としては世界で最も高い。
歴史
ピョートル大帝が1703年に都市を築いたのち、木造の教会に代わる石造聖堂として、1712年から1733年にかけて建設された。完成後はピョートル大帝以降の歴代皇帝の埋葬地となり、ロマノフ朝の霊廟としての役割を担った。ピョートル大帝以降の君主のうち、ここに葬られていないのはピョートル2世とイヴァン6世のみである。1998年には、ロシア革命で処刑された皇帝ニコライ2世とその家族の遺骸がここに改葬された。
建築的特徴
伝統的なロシア正教会が集中式の平面と玉ねぎ型ドームを重ねるのに対し、本聖堂は西欧的な縦長のバシリカ式平面を取り、多層の鐘楼と細長い尖塔を空へ伸ばす。尖塔の頂には十字架を掲げる天使像が据えられ、都市の象徴とされる。当初は木造であった尖塔の骨組みは、19世紀半ばに金属の構造へ改められ、現在の姿となった。明るい内部には、木彫を金箔で覆った壮麗なバロックのイコノスタシスが立ち、身廊と至聖所を隔てている。
意義・現在
意図して西欧の様式を選び取った本聖堂は、ロシアを欧州へ開こうとしたピョートル大帝の理念を建築として宣言したものといえる。ペトリーヌ・バロックの代表作であり、市のスカイラインを長く規定してきた。鐘楼には多数の鐘からなるカリヨンが据えられ、時を告げて旋律を奏でる。世界遺産「サンクトペテルブルク歴史地区と関連建造物群」の構成資産として保存され、霊廟と聖堂を兼ねる場として今に至る。