ロンシャンの礼拝堂 Notre-Dame du Haut
フランス東部の丘に立つ、ル・コルビュジエ設計の巡礼礼拝堂。1955年完成。分厚く湾曲した白い壁と反り返る重い屋根が生む彫塑的な空間で、近代建築の巨匠の後期の転回を示す。
§1 — 概要概要
ロンシャンの礼拝堂(Notre-Dame du Haut)は、フランス東部、ロンシャンの丘の上に立つカトリックの巡礼礼拝堂で、ル・コルビュジエの設計による。1955年に完成した。合理的な「住むための機械」を説いた近代建築の巨匠が、後年に見せた、彫塑的で感覚的な転回を象徴する作品である。
歴史
第二次大戦で破壊された巡礼礼拝堂の再建として計画された。機能主義の旗手であったコルビュジエは、ここでは一転して、幾何学では割り切れない、有機的で詩的な形を追求する。1955年の完成は、近代建築が単一の合理主義に尽きるものではないことを、世界に印象づけた。現在も巡礼と観光の地であり、20世紀建築の記念碑とされる。
建築的特徴
分厚く湾曲した白い壁と、両端が反り返る重く黒い屋根とが、互いに対話するように組み合わさる。屋根は壁からわずかに浮き、その隙間から光が漏れる。南の厚い壁には、大小さまざまな窓が不規則に穿たれ、色ガラスを通した光が、洞窟のような薄暗い内部に点々と降りそそぐ。直線も直角もほとんどなく、すべてが手で彫り出したかのように柔らかい。打ち放しコンクリートを、彫刻の素材として用いた点に、後年のブルータリズムへの橋もうかがえる。
意義・現在
ロンシャンの礼拝堂は、近代建築の巨匠が到達した、もう一つの極を示す。機能と合理を超えて、光と形が直接、人の感覚と精神に語りかける。厳密にはブルータリズムには括れないが、コンクリートを表現の素材へと解き放ったその姿勢は、戦後の建築に大きな影響を与えた。2016年には、ル・コルビュジエの一連の作品の一つとして世界遺産に登録された。
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Related※ ロンシャンの礼拝堂はル・コルビュジエ(1965年没)の作品で著作権は保護期間中であり、フランスにはパノラマの自由の全面的規定がない。掲載写真は撮影者がCC BY 2.0で公開したものを使用している。