2024年パリ・オリンピックのために建てられた水泳競技施設。サン=ドニのスタッド・ド・フランスに隣接し、世界最大級の木造吊り屋根と大規模な太陽光発電を備える。
§1 — 概要概要
オリンピック水泳センター(Centre aquatique olympique)は、フランス・パリ近郊のサン=ドニに建つ水泳競技施設である。2024年のパリ・オリンピックで、飛込・水球・アーティスティックスイミングの会場となった。スタッド・ド・フランスと、高速道路をまたぐ歩行者橋で結ばれており、大会のために新設された数少ない恒久施設のひとつである。
歴史
オランダのフェンフーフェンCSとフランスのアトリエ2/3/4/の設計により、2021年に礎石が据えられた。2023年末までに躯体が完成し、2024年4月に引き渡された。設計と運営は、大会後に施設を地域へ残すことを前提に進められた。実際、オリンピック後は観客席を5,000席から約2,500席へ縮小し、競泳や水球の練習、市民利用、学校水泳のための公共施設へと転用された。
建築的特徴
最大の特徴は、内部空間を覆う凹状の木造吊り屋根である。必要最小限の高さに抑えることで暖めるべき空気の量を約3割減らし、屋根上には大規模な太陽光発電パネルが敷かれて建物の電力の大半をまかなう。構造材には集成材をはじめとする生物由来の木材が多用され、CLTに代表される木質構造の思想を大規模競技施設へと応用している。観客席は地域の学校から回収した再生プラスチックで作られ、可動床をもつプールは用途に応じて水量を抑える。
意義・現在
本施設は、「史上初のサステナブルな大会」を掲げたパリ・オリンピックを象徴する建築である。低炭素の素材選択と省エネルギー設計を徹底し、大会後の転用までを設計段階から織り込むことで、一過性に陥りがちな五輪施設のあり方に一つの解を示した。プールの乏しいセーヌ=サン=ドニ県に開かれた地域拠点として、競技の遺産を日常の暮らしへとつないでいる。
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