聖ムィハイール黄金ドーム修道院 Saint Michael's Golden-Domed Monastery
キーウの丘に建つ正教会の修道院。12世紀初頭に創建され、18世紀にウクライナ・バロックの華麗な外観をまとったが、ソ連により破壊され、独立後の1990年代に再建された。
§1 — 概要概要
聖ムィハイール黄金ドーム修道院(Saint Michael's Golden-Domed Monastery)は、ウクライナの首都キーウの旧市街、ドニプロ川を見下ろす丘の上に建つ正教会の修道院である。金色に輝くドーム群と青く塗られた壁が印象的で、聖ソフィア大聖堂と向かい合うように立つキーウの代表的な聖地のひとつである。破壊と再建という劇的な歴史をたどった建築としても知られる。
歴史
聖堂は12世紀初頭、キーウ大公スヴャトポルク2世によって創建され、1108年ごろに着工、1113年ごろに完成したと伝えられる。中世にはモンゴルの侵攻や荒廃を経験したが、17世紀から18世紀にかけてコサック国家の支援のもとで大規模に改修され、ウクライナ・バロック様式の華やかな外観へと生まれ変わった。18世紀のキーウを代表する建築家イヴァン・フルィホロヴィチ=バルシキーらが、鐘楼など付属施設の整備に携わっている。
しかしソビエト時代の1934年から1936年にかけて、政府庁舎の建設を名目に大聖堂の大部分が爆破・解体された。中世のモザイクやフレスコの一部は救出され、各地の美術館に分散して保管されることになった。ウクライナ独立後の1997年から1999年にかけて、史料と古写真をもとに大聖堂が再建され、1999年に再び聖別された。
建築的特徴
建築的には、白く塗られた壁面に金色の玉ねぎ型ドームが群立する、白と金の鮮やかな対比がウクライナ・バロックの典型を示している。平面はビザンティン以来の伝統的な十字型構成をとり、ペンデンティヴによって中央のドームを支える。内部はイコノスタシスと壁画で荘厳されており、再建にあたっては失われた中世の意匠の復元も試みられた。
意義・現在
この修道院は、ソ連時代の破壊と独立後の再建という歴史を通じて、ウクライナの記憶と自立の象徴となった。現在はウクライナ正教会の中心的な拠点のひとつとして機能し、キーウの歴史的景観を代表する建造物として、多くの巡礼者や訪問者を迎えている。