サンタンドレア・アル・クイリナーレ教会 Sant'Andrea al Quirinale
ローマ、クイリナーレの丘に建つイエズス会の教会。ジャン・ロレンツォ・ベルニーニが1658年に設計を託され、横長の楕円平面と黄金のドームによって劇的な内部空間を実現した、ローマ・バロックの傑作である。
§1 — 概要概要
サンタンドレア・アル・クイリナーレ教会(Sant'Andrea al Quirinale)は、ローマのクイリナーレの丘に建つカトリックの教会である。イエズス会の修練院に付属する聖堂として計画され、盛期バロックを代表する建築家ジャン・ロレンツォ・ベルニーニが設計した。小規模ながら、横長の楕円という大胆な平面と、光を操る内部空間によって、ベルニーニ自身が最も愛した作品のひとつに数えた建築である。
歴史
ベルニーニがこの教会の設計を託されたのは1658年で、発注者は枢機卿カミッロ・パンフィーリ、教皇アレクサンデル7世の承認のもとに進められた。ここはローマにおけるイエズス会の三番目の教会にあたり、1566年に創設された修練院に仕えるためのものであった。敷地には以前、16世紀の教会サンタンドレア・ア・モンテカヴァッロが建っていた。建物本体は1661年までにほぼ完成したが、内部装飾が仕上がったのは1670年である。施工にはベルニーニの助手ジョヴァンニ・デ・ロッシが協力した。晩年のベルニーニはしばしば堂内に座り、この空間を眺めて過ごしたと、息子ドメニコが伝えている。
建築的特徴
平面は入口と主祭壇を短軸で結ぶ横長の楕円で、参拝者は入るとすぐ正面に祭壇を望む。周囲を壁とピラスター、エンタブラチュアが巡り、その上に金色のドームが架かる。街路に面したファサードは、半円形のポーチにイオニア式の円柱を二本立て、上部にパンフィーリ家の紋章を掲げる。外観では楕円のドラムを大きな渦巻き(ヴォリュート)が挟み、側方への推力を受け止める。同じ通りの先にはボッロミーニのサン・カルロ・アッレ・クアットロ・フォンターネがあり、二人の巨匠の対照を一本の通りの上に読み取ることができる。
意義・現在
サンタンドレアは、ベルニーニが建築家として到達した空間操作の精度を示す作例として知られる。楕円平面そのものには先行例があるが、光と色大理石、彫刻を一体に統合して天上的な効果を導く手際は、ローマ・バロックの到達点のひとつである。教会はイタリアの国定遺産に登録され、現在も枢機卿の名義教会として礼拝に用いられている。