サンタ・マリア・デッラ・パーチェ教会 Santa Maria della Pace
ローマ、ナヴォーナ広場にほど近い教会。1482年に教皇シクストゥス4世の発意で創建され、ブラマンテの回廊と、ピエトロ・ダ・コルトーナによる半円ポルティコをもつバロックのファサードで広く知られる。
§1 — 概要概要
サンタ・マリア・デッラ・パーチェ教会(Santa Maria della Pace)は、ローマのポンテ地区、ナヴォーナ広場の北西にほど近い場所に建つカトリック教会である。ブラマンテが手がけた回廊と、ピエトロ・ダ・コルトーナによる劇的なファサードを併せもち、ルネサンスとバロックの達成を一棟のうちに重ねた建築として名高い。
歴史
現在の聖堂は、先行する聖アンドレア聖堂の基礎の上に、1482年、教皇シクストゥス4世の発意で建てられた。1480年に聖母像が血を流したとされる奇跡を記念し、聖母に再奉献された。当初の設計者は明らかでなく、バッチョ・ポンテッリの名が挙げられている。16世紀初頭にはドナト・ブラマンテが付属の回廊(キオストロ・デル・ブラマンテ)を完成させ、これがローマにおける彼の本格的な仕事の一つとなった。1656年から1667年にかけては、教皇アレクサンデル7世の命でピエトロ・ダ・コルトーナが、聖堂前の狭い広場の拡張と、新たなバロック・ファサードの造営を担った。
建築的特徴
コルトーナのファサードは、半円形のポルティコを前面に張り出し、凹凸の曲面を異なる尺度で戯れさせることで、台形の小広場と一体の劇的な情景をつくり出す。周囲の建物を巧みに隠しながら、ファサードの見かけの幅を広げ、観る者への視覚的効果を高めている。内部は短い身廊とクーポラから成り、コルトーナはドーム内側を八角形の格間と放射状のリブで分節した。両者を組み合わせるこの手法は早い作例の一つで、後年のベルニーニの礼拝堂にも引き継がれた。キージ礼拝堂上部には、ラファエロの《巫女たち》のフレスコが残る。
意義・現在
サンタ・マリア・デッラ・パーチェは、ブラマンテの静謐な回廊とコルトーナの躍動するファサードを併せもつことで、盛期ルネサンスからバロックへの建築言語の変容を一望させる。狭い都市空間を舞台へと変えた都市的介入の名作でもあり、現在はチリの国民教会として用いられている。
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