ローマのチェリオの丘に立つ初期キリスト教の聖堂。468〜483年に教皇シンプリキウスが献堂した、ローマ最初の円形・集中式の教会で、後期ローマ世界に類例のない独創的な空間をなす。
§1 — 概要概要
サント・ステーファノ・ロトンド聖堂(Santo Stefano Rotondo)は、ローマのチェリオの丘に立つ初期キリスト教の聖堂である。5世紀後半に建てられた、ローマで最初の円形プラン(ロタンダ)の教会として知られ、最初の殉教者である聖ステファノに捧げられた。後期ローマ世界において類例のない、独創的な集中式の建築である。
歴史
最初の聖堂は、教皇シンプリキウスの時代、468年から483年のあいだに献堂された。聖地で発見されローマへ運ばれた聖ステファノの遺骸を祀るためのもので、建設はチェリオの丘に広大な所領を持つ富裕なウァレリウス家の出資によるとみられる。中世を通じて維持されたが、15世紀半ば、教皇ニコラウス5世のもとで大規模な修復が行われ、傷んだ最外周の環状部分が撤去されて現在の規模に整えられた。16世紀には、内壁に殉教者たちの場面を描いた連作壁画が加えられている。
建築的特徴
当初の平面は、中心の円形空間を二重の環状列柱が同心円状に囲む、直径およそ65メートルの大規模な構成であった。中央の円筒部は高い壁とその上部の窓から採光し、周囲を巡る歩廊と組み合わせる。これは長方形の身廊を基本とする同時代のバシリカ式教会とは対照的で、殉教者廟(マルティリウム)の伝統に連なる円形・集中式の系譜に位置づけられる。古代の円形建築を範としつつ、内部空間そのものに宗教的な意味を託した点に特色がある。
意義・現在
サント・ステーファノ・ロトンドは、ローマにおける円形教会の最初の達成であり、初期キリスト教建築が神殿ではなく内部体験の建築へと向かう過程を示す重要な作例である。現在はローマにおけるハンガリーの「国民教会」とされ、ドイツ・ハンガリー神学校の付属聖堂として用いられている。イタリアの国の文化財に指定され、ローマ歴史地区の一画にその姿をとどめている。
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