モスクワ市内に建つ7棟のスターリン様式の摩天楼の総称。モスクワ建都800周年を機に、1947年から1957年にかけて建設された。段状にせり上がる輪郭と尖塔を特徴とし、完成当時はヨーロッパ最高層の建築群であった。
§1 — 概要概要
モスクワのセブン・シスターズ(ロシア語: Сталинские высотки、「スターリンの高層建築群」)は、モスクワ市内に建つ7棟のスターリン様式の摩天楼の総称である。第二次世界大戦後の復興期、社会主義国家の威信を示す象徴として、1947年から1957年にかけて建設された。段状にせり上がる輪郭の頂部に尖塔を戴く共通の意匠を持ち、完成当時はヨーロッパでもっとも高い建築群を形成した。
歴史
1947年、モスクワ建都800周年にあたり、スターリンの政令によって首都に高層建築群を建設する計画が定められた。当初は8棟が構想されたが、実際に完成したのは7棟である。アメリカの摩天楼に対抗しうる近代都市の景観を、社会主義の理念のもとに実現することが目的とされ、各棟は当代を代表する建築家たちに割り当てられた。完成した7棟は、ウクライナホテル(アルカディ・モルドヴィノフ設計)、コテリニチェスカヤ河岸の集合住宅(ドミトリ・チェチューリン)、クドリンスカヤ広場ビル(ミハイル・ポソーヒンとアショト・ムンドヤンツ)、レニングラードホテル(レオニード・ポリャコフ)、外務省本館(ウラジミール・ゲリフレイフ)、モスクワ国立大学本館(レフ・ルードネフ、パーヴェル・アブロシモフ、アレクサンドル・フリャコフ)、そして赤い門の行政庁舎(ボリス・メゼンツェフ)である。なお、計画されながら実現しなかったソビエト宮殿などの構想も、この高層建築群と一連のものであった。
建築的特徴
各棟は、段状に積み上がる「ウェディングケーキ」状のシルエットと、頂部の尖塔に星章を戴く強い垂直性を共有する。これは社会主義リアリズムの理念にもとづくスターリン様式の典型であり、新古典主義やロシアの伝統的な意匠を折衷した装飾が外装を覆う。構造には鉄骨造が用いられ、外装には石材やセラミックタイルが張られて、重厚で記念碑的な外観がつくられた。なかでもモスクワ国立大学本館は高さ240メートルに達し、1990年に至るまでヨーロッパでもっとも高い建築物であり続けた。
意義・現在
セブン・シスターズは、戦後ソビエト連邦の国家的威信を可視化したスターリン様式の到達点であり、その造形はワルシャワの文化科学宮殿をはじめ東欧各地の高層建築にも影響を与えた。今日も7棟はすべて現存し、大学・官庁・ホテル・集合住宅として用いられながら、モスクワのスカイラインを特徴づける歴史的ランドマークとなっている。