スコーグスシュルコゴーデン Skogskyrkogården
スウェーデン・ストックホルム南郊の墓地。アスプルンドとレーヴェレンツが1915年の競技で設計し、北欧古典主義から機能主義へ至る20世紀建築と自然との融合を体現する。1994年に世界遺産登録。
§1 — 概要概要
スコーグスシュルコゴーデン(Skogskyrkogården、「森の墓地」の意)は、スウェーデン・ストックホルム南郊のエンスケーデにある墓地である。建築家グンナール・アスプルンドとシーグルド・レーヴェレンツが、松林の地形を生かして設計した。建築と造園、そして自然の風景とが一体となった近代墓地の代表例として、1994年に世界遺産に登録された。
歴史
1915年、市が砂利採掘跡の松林を墓地とするために催した設計競技に、当時いずれも若手であったアスプルンドとレーヴェレンツの案「タルム(Tallum)」が勝利した。両者は既存の地形と樹林をできるかぎり残す方針を採り、1917年から造成が進められ、1920年に最初の埋葬が行われた。以後、礼拝堂や付属施設が長い時間をかけて整えられ、アスプルンドが設計した森の火葬場(スコーグスクレマトリエット)が1940年に完成して、設計の構想は一つの頂点に達した。アスプルンドはその完成直後に世を去っている。
建築的特徴
この墓地の本質は、個々の建物よりも、風景そのものの演出にある。訪れる者は、十字架の立つ開けた丘へと続く緩やかな道をたどり、自然の起伏のなかを歩むことで死と向き合うよう導かれる。初期の礼拝堂群は、簡素な古典主義(北欧古典主義)の語彙でまとめられ、白い壁と純粋な幾何学が松の緑と対比される。これに対し、1940年の森の火葬場は、列柱廊と開放的な構成をもつ機能主義(モダニズム)の作品であり、簡潔で抽象的な造形のなかに静謐な記念性をたたえている。古典から近代への移行が、一つの敷地のなかに刻まれている。
意義・現在
スコーグスシュルコゴーデンは、20世紀建築が自然や風景といかに対話しうるかを示した記念碑的作品とされ、世界各地の墓地や公園墓地の設計に影響を与えた。アスプルンドとレーヴェレンツの名を国際的に知らしめた作品でもある。現在も実際に使われている墓地であり、静かな散策の場として広く親しまれている。