ヴァヴェル大聖堂 Wawel Cathedral
クラクフのヴァヴェルの丘に立つポーランドの国家的大聖堂。現存するのは14世紀に建立されたゴシック様式の三代目で、歴代国王の戴冠と埋葬の場として知られる。
§1 — 概要概要
ポーランド南部の古都クラクフ、ヴァヴェルの丘に立つカトリックの大聖堂である。正式には聖スタニスラフ・聖ヴァーツラフ大聖堂と称し、ヴァヴェル城に隣接する。歴代ポーランド国王の戴冠式と埋葬がおこなわれた国家の聖所であり、信仰と国家統合の象徴とされてきた。
歴史
現在の建物は、この地に建てられた三代目の聖堂にあたる。最初の聖堂は11世紀初頭にロマネスク様式で築かれ、再建された二代目も14世紀初頭の火災で失われた。三代目は、ナンケル司教のもと14世紀前半に尖頭アーチを用いるゴシック様式で着工され、1364年にカジミェシュ大王の治世下で献堂された。以後、各時代の王たちによって礼拝堂や側廊が加えられ、様式の異なる増築が重ねられていった。
建築的特徴
身廊はリブ・ヴォールトで覆われ、ラテン十字の平面をもつゴシックの本体を基礎としながら、地下にはロマネスク期のクリプタである聖レオナルド聖堂が残る。外周には歴代王家の霊廟や礼拝堂が並び、なかでも金色のドームを戴くルネサンス様式のジグムント礼拝堂は、アルプス以北のルネサンス建築の傑作として名高い。さらに17世紀には聖スタニスラフの廟やバロックの祭壇が加えられ、ロマネスク・ゴシック・ルネサンス・バロックが折り重なる折衷的な構成が大きな特色となっている。
意義・現在
1320年から1764年まで、ヴァヴェル大聖堂はポーランド王の戴冠の舞台でありつづけた。地下聖堂と礼拝堂には、ピアスト朝・ヤギェウォ朝の王と王妃をはじめ、軍人・詩人・政治家ら国民的な人物が葬られている。クラクフ歴史地区の一部として1978年にユネスコ世界遺産に登録され、現在もクラクフ大司教座聖堂として、ポーランドの歴史を体現する場所であり続けている。