EST. 2026 — Editorial Archive of Notable Architecture
イェニ・ヴァリデ・モスク
© A.Savin / FAL
FIG. 01 — Q2334567

イェニ・ヴァリデ・モスク Yeni Valide Mosque

Yeni Valide Camii

イスタンブール・ユスキュダルに建つ18世紀初頭のオスマン帝国のモスク。スルタン・アフメト3世が母后のために営んだ複合施設で、古典オスマン建築の伝統を伝える。

FIG. 02 — Location41.0248° N 29.0151° E
トルコ イスタンブール県 イスタンブール
§1 — 概要

概要

イェニ・ヴァリデ・モスク(Yeni Valide Camii)は、イスタンブールのアジア側、ユスキュダル地区に建つオスマン帝国のモスクである。スルタン・アフメト3世が、その母である母后ギュルヌシュ・スルタンを記念して造営した。モスクを中心に、廟・施療院・学校・泉亭などを備えたキュッリイェ(複合宗教施設)として整えられている。

歴史

造営は1708年に始まり、1710年に完成した。宮廷建築家カイセリリ・メフメト・アアが工事を統括したと伝えられるが、その関与の度合いには不明な点も残る。建立は、後宮の女性が大きな政治的影響力をもった「女人の天下」と呼ばれる時期の末にあたり、モスクは母后の権勢と、彼女を顕彰しようとするスルタンの意志を映している。チューリップ時代の宮廷文化を背景とする造営でもあった。

建築的特徴

中央の主室は正方形の平面に扁平な大ドームを架け、その四方を半ドームが支える、古典オスマン建築の構成をとる。これは大建築家スィナンに連なる「スィナン派」の伝統を受け継ぐもので、礼拝の方向を示すミフラーブを備え、二つずつのバルコニーをもつ二本のミナレットが立つ。前庭には清めのための泉亭(シャドゥルワン)が置かれている。

意義・現在

イェニ・ヴァリデ・モスクは、ユスキュダルでオスマン王室の女性たちによって営まれた数多くのモスクの掉尾を飾る建築である。海路でイスタンブール各所から訪れる人々の祈りと憩いの場として、地区の景観の要となってきた。古典オスマン様式が次代のオスマン・バロックへと移ろう直前の姿を伝える、貴重な遺構である。

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LAST EDIT — 2026.06.28
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