アール・デコ
Art Deco年代
1910 — 1939
地域
国際(フランス発)
時代
近代モダニズム
アール・デコ(Art Deco)は、両大戦間期に流行した装飾的な造形様式である。名称は1925年にパリで開かれた現代装飾美術・産業美術国際博覧会(通称アール・デコ博)に由来し、当初は建築のみならず家具・宝飾・グラフィックなど応用美術の全域を覆う総合的な様式として広まった。先行するアール・ヌーヴォーが植物に範をとる有機的な曲線を特徴としたのに対し、アール・デコは直線・幾何学・対称を基調とし、ジグザグ文様、放射状の日輪、雷文、階段状に後退する輪郭(セットバック)といったモティーフを好んだ。機械や速度を肯定する近代の感覚を、なお豊かな装飾とともに表現しようとした点に、この様式の独自性がある。
建築では、鉄筋コンクリートや鉄骨という新しい構造を背景に、垂直性を強調した塔状の構成が好まれた。ニューヨークのクライスラー・ビルに代表される摩天楼は、頂部を後退させながら積み上げるセットバックの輪郭と、金属やテラコッタによる幾何学装飾とを結びつけ、アール・デコ建築の典型を示している。古代エジプトやメソアメリカ、あるいは各地の民族意匠から引いたモティーフを大胆に折衷する点も、世界的に流行したこの様式の特色である。
厳格な装飾排除を掲げた同時代のモダニズムとは対照的に、アール・デコは装飾と近代性の両立を図った。両者はしばしば反目しながらも、幾何学を重んじる感覚において地続きでもあり、地域や用途に応じて緩やかに混ざり合った。映画館や百貨店、駅舎、さらには教会といった大衆的・記念碑的な建築にまで広く採用され、1930年代を通じて世界各地へ伝播したが、第二次世界大戦を境に急速に後退し、戦後は機能主義的なモダニズムに主役を譲ることになる。
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