アレクサンドル・ネフスキー大聖堂 Alexander Nevsky Cathedral, Paris
パリ8区のリュ・ダリュに建つロシア正教の大聖堂。1861年に成聖された、フランス最初のロシア正教聖堂で、ギリシア十字の平面に五つの金色ドームを戴くネオ・ビザンティン様式の代表例である。
§1 — 概要概要
パリ8区のリュ・ダリュに位置する、ロシア正教の大聖堂である。1861年に成聖されたフランス最初のロシア正教聖堂であり、ギリシア十字の平面に五つの玉ねぎ型ドームを戴くネオ・ビザンティン様式の代表的な作例として知られる。
歴史
19世紀のパリでは在仏ロシア人が増え、1816年に設けられた小聖堂では手狭になっていた。1847年、ロシア大使館付司祭ジョゼフ・ヴァシリエフがナポレオン3世から新聖堂建設の許可を得、皇帝アレクサンドル2世の下賜金を得て計画が進んだ。聖堂の守護聖人は、皇帝の名祖でもある中世ルーシの公アレクサンドル・ネフスキー(1219〜1263)である。工事は1859年、ロシア皇室付主任建築家ロマン・クスミンと技師シュトロームのもとで始まり、1861年に成聖された。1951年に大聖堂の地位を与えられ、1981年にフランスの歴史的記念物に指定されている。
建築的特徴
平面はギリシア十字を基本とし、正面にはキリストを描いたモザイクを収める半円のペディメントを置く。最大の特徴は、キリストと四福音書記者を象徴する五基の塔と、その頂部を飾る金色の玉ねぎ型ドームである。中央塔にはロシア正教の十字架が立つ。内部はコンスタンティノープルのハギア・ソフィアに着想を得た集中式の構成をとり、聖域と身廊とをイコノスタシスが隔てる。
意義・現在
当聖堂は、ビザンティンとロシアの伝統を折衷した「ビザンティン=モスクワ風」を西欧に示した建築として重要である。革命後は亡命ロシア人社会の精神的な中心となり、文人や芸術家ゆかりの場としても知られた。現在も礼拝の場として用いられ、パリのロシア正教を代表する聖堂である。