アルムデナ大聖堂 Almudena Cathedral
マドリードの王宮に正対するカトリック大聖堂。1883年にフランシスコ・デ・クバスのネオゴシック案で着工したが、1944年のコンペで外観を王宮に合わせた新古典主義へ改め、1世紀を経て1993年に完成・聖別された。
§1 — 概要概要
アルムデナ大聖堂(Catedral de Santa María la Real de la Almudena)は、スペインの首都マドリードにあるカトリックの大聖堂で、マドリード大司教区の司教座聖堂である。王宮(パラシオ・レアル)に正対して立ち、その最終的な外観は、隣接する王宮との調和を強く意識して定められた。着工から完成まで1世紀を超え、内部・外部・地下で異なる様式が同居する折衷的な構成をもつ。
歴史
計画は16世紀から論じられていたが、着工は1883年で、当初は王妃メルセデスの霊廟として建築家フランシスコ・デ・クバス(Francisco de Cubas、クバス侯)が設計した。1885年にマドリードが司教区へ昇格すると、案はより大規模なネオゴシックの大聖堂へと改められ、まずネオロマネスクの地下聖堂(クリプタ)から工事が進められた。1899年のクバスの死後、工事は資金難で停滞し、内戦期(1936〜39年)には完全に中断する。戦後、ゴシック様式が隣の王宮と調和しないとされ、1944年の国家コンペでフェルナンド・チュエカ・ゴイティア(Fernando Chueca Goitia)とカルロス・シドロ(Carlos Sidro)が当選した。両者は外観を新古典主義へ改め、中央身廊の高さを下げて王宮を圧しない比例に整えた。1950年に工事が再開し、1993年6月15日、教皇ヨハネ・パウロ2世によって聖別された。
建築的特徴
ラテン十字の平面をもち、内部はネオゴシック、外観はバロックを交えた新古典主義、地下聖堂はネオロマネスクという三層の構成をとる。クバス設計の地下聖堂は558本の柱が並ぶ石造で、柱頭はすべて異なる意匠で彫られる。王宮側に面する主ファサードは、下層をトスカナ式、上層をイオニア式とする二層の列柱廊で構成される。内部のステンドグラスや礼拝堂には現代作家による意匠が多く、歴史主義から現代的な表現までが混在する。
意義・現在
アルムデナ大聖堂は、19世紀末に始まり20世紀末に至る長い建設過程のなかで、ネオゴシックから新古典主義へと設計思想が転換した事例として知られる。様式の混在をめぐっては批判もあるが、王宮と一体の都市景観を形づくる存在となっている。地下聖堂にはクバスとチュエカ・ゴイティアの墓もある。2004年には、当時皇太子であったフェリペ6世の結婚式が行われた。