国立古典絵画館 Galleria Nazionale d'Arte Antica
ローマにある国立美術館。1800年以前の絵画を中心に収蔵し、バロックの傑作パラッツォ・バルベリーニとパラッツォ・コルシーニの二つの宮殿を会場とする。マデルノ、ベルニーニ、ボッロミーニらが手がけた建物自体も見どころである。
§1 — 概要概要
国立古典絵画館(伊: Galleria Nazionale d'Arte Antica)は、ローマにある国立の絵画館で、おもに1800年以前の古い絵画を収める(古代美術品は含まない)。展示は二つの宮殿に分かれ、主たる会場であるパラッツォ・バルベリーニと、トラステヴェレのパラッツォ・コルシーニからなる。いずれもローマ・バロックを代表する宮殿であり、収蔵品とともに建物そのものが見どころとなっている。
歴史
パラッツォ・バルベリーニは、バルベリーニ家出身の教皇ウルバヌス8世のために、1625年から建設された。設計は当初カルロ・マデルノが担い、その死後はジャン・ロレンツォ・ベルニーニが引き継ぎ、フランチェスコ・ボッロミーニも加わって、1633年頃に主要部が整えられた。一方のパラッツォ・コルシーニは、15世紀のリアーリオ宮を、18世紀にフェルディナンド・フーガがコルシーニ枢機卿のために全面改築したものである。絵画館としての歩みは、1883年のコルシーニ・コレクションの国家寄贈に始まり、1893年に国立絵画館として開館した。バルベリーニ宮は1949年に国家が取得し、1953年に新たな展示の場として開かれた。
建築的特徴
パラッツォ・バルベリーニは、ローマ・バロックの宮殿建築の原型ともいわれる。中央広間を挟んで二つの翼が伸びる「H字形」の斬新な平面はマデルノの構想で、内部にはベルニーニによる方形の大階段と、ボッロミーニによるとされる楕円形の螺旋階段が対をなす。中央広間の天井には、ピエトロ・ダ・コルトーナが《神の摂理の寓意》の壮大な天井画を描いた。コルシーニ宮のファサードと階段は、フーガによる端正な後期バロックの作例である。
意義・現在
収蔵品には、ラファエロ、カラヴァッジョ、ホルバイン、ティツィアーノ、エル・グレコらの名画が含まれ、ローマ随一の古典絵画コレクションを形づくる。バロック盛期の宮殿を会場とすることで、絵画と建築・装飾が一体となった空間が体験できる点に、この絵画館の独自の魅力がある。